第37章


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 休憩から戻ってからというもの、ミミロップはより真剣に修業に取り組むようになっていた。
弱音も吐かず、手を抜く事もなく、課せられた鍛練を黙々とこなしていく。
突然の態度の変化をルカリオは妙に思いながらも、それを深く追究することはしなかった。
 絶え間ない努力の甲斐もあり、数週間の内にミミロップは目覚ましい進歩を遂げていた。
体の動きや技の切れは、並の格闘ポケモンと遜色ない程に成長し、
相手の放つ気を奪って逆に利用する術等も身につけた。
しかし、いくら努力しても炎はいまだ取り戻せないままだった。この事をミミロップはルカリオにも打ち明けていない。
初歩の初歩が出来なくなったなどと言えば、とうとう呆れ果てられて破門を宣告されるのではないかと恐れていた。

 ある日の昼下がり、ルカリオ達のもとに二匹の見知らぬポケモンが訪れる。
「ルカリオ様でいらっしゃいますか?」
 小柄で細身の宇宙人のような姿をしたそのポケモンの一匹が、指導に励むルカリオに恐る恐る声をかけた。
「いかにもそうだ。お前達は?」
 指導を中断し、ルカリオは二匹の方へと歩み寄る。
「ああ、失礼いたしました。私達はヤミラミ。鋼鉄島の地下で、
屑鉱石や宝石の粕を食みながらひっそりとそれは質素に暮らしております」
 濃紫色をした顔にどこか卑屈な笑顔を浮かべ、ポケモンはそう名乗った。


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