第37章


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「して、どのような用件でそなた達は参られたのだ?」
 ハガネールが問い掛ける。
「この者達への待遇についてお聞きしたい」
 背後を手で示し、ルカリオは言った。

 ハガネールは首を傾げる。
「この者達、と言われても、そなた達二匹の他に誰もおらんではないか」
 ルカリオとチャーレムが振り返ってみると、背後に居るはずのヤミラミ達は姿を消していた。

「先程までは確かに――」
 ルカリオが、訝るハガネールの方に目を戻したその瞬間、
天井からヤミラミ達が降り立ってハガネールの顔面へ取り付く。
「――!」
 不意打ちに驚愕し見開いたハガネールの目を狙い、ヤミラミ達は爪を振り下ろした。
寸での所でハガネールは首を大きく揺らして逸らし、頬と額に少し傷を負っただけに済ませる。
そしてヤミラミ達をそのまま振り払って地に叩きつけ、尾で薙払って跳ね飛ばした。

「貴様ら、ヤミラミ共と手を組んでいたか! 自分達に気を向けさせての不意打ちとはなんと卑劣な!」
 猛る怒りに洞窟がびりびりと揺らぐ。
「違う! これは――」
 問答無用とばかりにハガネールは咆哮を上げ、牙を剥いた。

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