第34章


[09] 



 ゲンガーの指差す方向を見ると、真っ黒い空と宙に浮かぶ瓦礫の間に何かが見えた。
緋色の体に、6本の黒い翼、そして頭から黄金色の外殻が胴体まで伸び、顔と胸部を覆っている。
俺の記憶とは大分ズレがあるが・・・その姿にはギラティナを彷彿させる多くの共通点があった。
「―――わかったか?アイツがこの空間の元締めだ。
まぁ、普段ここにはアイツしかいねぇから当然っちゃ当然だな。
もし、子供が自分だけの部屋をもらったらどうすると思う?
お気に入りの人形を置いたり、ポスターを貼ったり、できるだけ居心地がいい部屋を作ろうとするだろ?
アイツの場合も同じ、ここは同族以外お断りのギラティナちゃんのお部屋なのさ。」

 なるほど、これで俺たちの体調の変化の理由がはっきりした。だが・・・
「ならば、なぜあそこにいるギラティナはこっちに来ない。
アイツがアブソルを連れて来るようお前に言ったんじゃないのか?」
 我慢できず、俺はその疑問を口に出した。
「そう事態は単純じゃねぇのさ。確かにアイツはギラティナだが俺たちの元締めとは別物だ。
ま、これ以上のことは直接本人にでも聞いてくれ。」
 話は終わりだというように、ゲンガーは再びクルリと向きを変え足を速めた。


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