第34章


[08] 



(ピカチュウ大丈夫?なんか顔色悪いけど。)
 手で口を塞ぎ、わずかに聞こえるほどの小さな声でミミロップが心配そうに俺に声をかける。
―――どうやら気を失っていたのは俺だけのようだ。
「ああ、問題ない。いったい俺の身に何があ・・・」
「おーっと、さっきの話を忘れたのか?おしゃべりはそこまでだ。
それを知りたきゃしっかりと俺に付いてくることだな。ケケッ」
そういうや否や、ゲンガーは飛び跳ねるように彼方に見える一点の白い光に向かってへ走り出した。
 あそこが出口だと思って間違いないだろう。
「はやくいこー」
 俺は無言で頷き、ゲンガー達の後を追って走り出した。



 数百メートル進んだところで、自分の体の異変を無視できなくなった。
体が重い―――出来るだけ息をしないようにしているせいもあるだろうが、それだけではない。
後ろに続くミミロップ、ロゼリアにも俺と同じ症状が出ているようだ。
 一方、先頭を行くゲンガー、ムウマージ、一番後ろを行くサマヨールとゴースト達は特に変化はない。
むしろ、いつもより生き生きしているように見える。こいつらには似合わない表現だが
「さぁーて、そろそろ答えを知りたくてウズウズしてきただろ?」
 ゲンガーが軽快にステップを踏みながら、こちらに振り向いた。
が、速度はまったく落ちない。そのまま後ろ向きに走り続けている。
「たぶんお前の疑問の答えは全部一瞬で出るぜ。上を見てみな。」



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