第33章


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波に飲まれ息ができない、が同時に体が軽くなるのを感じる。
空気を求め、上を目指して地面を蹴り上げた。

―――既に先ほどまでの光は嘘のように消えている。
すぐ横にレッドが気を失ったアブソルを抱えながら浮かび上がってきた。
これが光の暴走が収まった理由か…覚えておこう

「もうっ!何なのよこれ!」
ミミロップが流されるようにこちらに向かって泳いできた。
その上をムウマージがフラフラとついて来る。
「あのムウマージきらい〜」

「出てこい、カメックス!君たちも掴まって。」
「ぉいおい、何があったっていうんだ?」
カメックスが驚くのも無理はない、こっちが聞きたいくらいだ。
「説明している時間は無さそうだね。上を見て。」

ミュウツー、クローン達が水面からすこし上に浮かんでいた。
こちらを見下ろすミュウツーの顔には怒り、それ以上に驚きの表情が表れている。
「今のは…いったい…?遺伝子から見て奴らにこれほどのことをなせるはずがない…ではあの人間か…?しかし…」
何かをブツブツと呟いている。どうやら目はこちらを向いているが俺たちのことは見えていないようだ。
後ろに立つクローンたちも俺たちの以外はピクリとも動かない。
「ざまぁ見やがれ!機械もぶっ壊れちまったし、これでお前の計画もおじゃんだな!」
デルビルも無事だったようだ。―――あれは人間でいう平泳ぎというやつか。

デルビルの声が聞こえたのか、ミュウツーの呟きが止まった。
「―――結論が出た、真相を確かめるのはリスクが高い。よって貴様たちにはここで消えてもらう。
あの機械の構造は既に頭に入っている。多少計画が遅れることは認めざるを得ないが、場所を変え再び同胞を増やすとしよう。
それでは…さらばだ。」



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