第33章


[17] 



アブソルの叫ぶ声
レッド、アブソル、そして今にも光弾を放とうとするミュウツーの姿が目に入った。
危ない―――だが、駆けつけようとする俺の行く手を電撃が遮る。
「ほぅ、まだ仲間の心配をする余裕が残っていたのか。」
忌まわしいコピーの顔には既に余裕が戻り、皮肉を込めた笑みが浮かんでいる。
「チィッ!」
くそっ、間に合わん―――

―――ピュイッ
甲高い泣き声が洞窟中に響きわたり、皆の注意が上に集まる。
土色の翼、それとは対照的な極彩色の尾羽とトサカ―――
だが高度を下げるにつれ、本来あるはずのないまだら模様がはっきりと目に映った。
「ほぅ、自らの意思で這い出てきたか。」
予想はできたことだ…が、その事実を受け入れられるかどうかは別の話だ。

「お前が…俺を…生み出した…のか?」
初めて言葉を話すかのように、いや、実際今生まれたのだから当然かもしれない。
まだ緑色の液体がしたたる身体から途切れ途切れに言葉を吐き出す。
「そうだ、私がお前を造りだしたのだ。―――記憶が混乱しているようだな。」
もう話さなくていいとでも言うようにピジョンの頭にポンと手を置くミュウツー
おそらくテレパシーで頭の中を読み取っているのだろう。

「―――フン、他にもネズミが潜り込んでおったか。」
頭から手を離したかと思うと、手探りで物を探すかのように腕を左右に動かし、何かを掴み引っ張りあげる。
と同時に岩の陰から一匹の黒い影が飛び出した。むしろ、引きずり出されたというべきか。
「ゲゲッ!な、何だ?」
「オヤビーン、そっち行っちゃ駄目ですよー」

どこかで聞いたような声だ。



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