第33章


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「戻れ、リザードン」
どこか悲しげな掛け声と共に、リザードンにボールを向ける。
一瞬、意味がわからないという素振りを見せたが、すぐにやれやれとでも言う様にボールに収まった。
「ほぅ、どういうつもりだ?」
「見ての通りだ、もう仲間の力は借りない。君は僕自身が止めてみせる。」
言うや否や、一直線にレッドが駆け出す。
「フッ、ハハハハ!面白い冗談だ。その貧弱な体でどうやって私を止めるというのだ?」
突き出したミュウツーの右腕から無数の光弾が放たれた。

「待って―――!」
突如、二人の間に白い塊が飛び出し、黒き鎌で光弾を弾き飛ばした。
「む、お前は―――そうか、お前のコピーだけは何故かうまくいかなかったのだったな…
お前にも多少興味をそそられるが―――邪魔をするな、小僧!」
「いやだっ!」
前傾姿勢のまま、アブソルは動こうとしない。
「目的が無いからって、そんなの絶対間違ってるよっ!
ピカチュウが言ってた、外の世界には素晴らしいものがいっぱいあるって。
難しいことはボクにはよくわからないけど…でも、復讐なんかにせっかく貰った命を使っちゃったら勿体ないよっ!」
赤い瞳からは今にも涙がこぼれそうだが、その燃えるような眼差しはミュウツーから離れない。

「―――言ったはずだ、私を止めたければ力で示せとな。」
表情を変えず、ミュウツーが一人と一匹に狙いを定めた。




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