第33章


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「―――思い出した。いでんしポケモン…ミュウツー」
レッドがこぼした自分の名前を聞き、ミュウツーの動きがピタリと止まった。
「私を知っているのか?」
「うん、僕はその…君を造りだしたロケット団とは長い付き合いでね、むかし君の文献を読んだことがある。」
レッドが慎重に言葉を選びながら続ける。
「確かに彼らのやったことが許せないのはわかるけど、もうロケット団は解散してしまったんだ。受けるべき罰を受けてね。
だから…もうこんなことはやめて僕と一緒に来ないか?人間だってそんな悪い奴ばかりじゃないよ。」

「悪い奴らばかりじゃない…か…」
ミュウツーの口元がかすかに緩んだ。
だらりと腕を下ろし、口を開くと同時にレッドの心に直接語りかけた。

「生命とは何か目的を持ってこの世に産み落とされるという。
たとえどんなに小さなものであってもだ。必ずその者の支えとなり、生きる道しるべとなる。
だが造られた生命である私には…お前にならわかるとでもいうのか?私生まれてきた意味―――目的を。」

『私は何故ここにいるのか?』

「・・・・・」
「ククッ、答えられるはずがあるまい。私にはそんなもの存在しないのだからな。
―――それでも私を止めるというのなら、力で示してみろ。」
再び戦いの構えに入るミュウツー、それに応じてリザードンも体勢を低くし唸り声を上げる。


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