第33章


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低く唸るような音と共に、十分に大きくなった桃色の光球を打ち出す。
が、期待とは裏腹に光球は奴まで届かず、途中で停止したかと思うと、一気に膨張し俺もろともあたり一面を飲み込んだ。
同時に、ズッシリと何かにのしかかられる様な、強く大地に引き込まれるような感覚に襲われた。足が上がらない
光でほとんど目を開けられないが辛うじて奴の姿を確認できる。
―――奴にも同じことが起こっているようだ、悪態をつきこちらから目をそらしている。
…この機会を逃すわけにはいかない
右腕に目一杯電流を集め、巨大な球体をはじき出す。
「―――ッ!」
反応が遅れ、避けきれないと気づいた奴の顔から始めて余裕が消え去る。が、すぐにその顔は電撃の嵐と巻き立つ土煙の中に飲み込まれ…見えなくなった。

光が薄れ、少しずつ体が軽くなるのを感じる。
準備に時間がかかった割には随分と短い時間だった。
まあ、、うまくいったことに変わりはない。流石に今のを受けて無事でいられるはずは―――

「―――俺としたことが、オリジナルに不覚を取るとはな」
!!
土煙が徐々に消え、奴の―――電流の壁に覆われ、傷ひとつない姿があらわになった。
「フン、何を驚いている。お前にできて俺にできないことがあるとでも思っていたのか?
今のは少々予想外ではあったがな…てっきりその腕輪は持ち主の力を引き出すだけだと思っていたが…まあいい、お前を倒してからゆっくり調べるとしよう。」



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