第31章


[03] 



 ピジョン達の話では、屋敷のポケモンに襲われて戦闘中、目の前に突然何者かが現れ、確認する間も
なく気が付けば外に倒れていたそうだ。
 これもミュウツーの仕業だろう。借りはこれで返したということか。
 幸い三匹に大きな怪我はなく、ピジョンが翼に少々の爛れたような傷を負っている程度であった。
「ベトベターに不意を打たれてな。なあに、大したことはない」
「ごめんなさい、ボクを庇ったせいで……」
 傷の理由をピジョンが話す横で、悲痛な面持ちでアブソルが顔を俯かせる。
「気にするなと言っただろう。大人としてかわいい子に怪我をさせるわけにはいかないからな」
 そう言ってピジョンは笑み、翼でアブソルの肩を軽くぽんぽんと叩いた。
「俺からも礼を言う」
「ああ。で、そっちは何があった?」

               ・

 地下で起こった事のすべてを俺はピジョンに話した。
 襲い掛かってきた者達の事、見つけた日誌の内容。ミュウツーとの対峙。話を進めるごとに各々の表情
に怒りや憎しみ、沈痛なものが浮かんでいった。
「ミュウツーの島が直に滅ぶという言葉、不気味だな」
「うむ……だが屋敷には入れず、こちらから打てる手立てが無い今、忠告に従わざるをえないように思う。
何が起こるかわからん、いつでもミミロップ達を運んでの飛行は可能か?」
「そうだな……。そんなに深い傷じゃあない。治療し、少し休めば――」
 その時、地が突如として唸り声を上げ揺らぎだす。
「な、なにぃ?」
「地震だ!」

 グレン島崩壊のカウントダウンは始まった。


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