第30章


[05] 



「あれをよく見てください」
 ロゼリアが指す方向――シャッターの上の辺り――を見てみると、錆付いた周りと比べて
縦線状に真っ直ぐ錆が剥がれている部分が確認できる。極最近に何回も擦れて出来たような擦り傷だ。
「こんな傷、最初にこのシャッターを見たとき付いていましたっけ」
「いや、そのような覚えはない。……何が言いたい」
「この二枚のシャッター、最初は開いてたんじゃないですか? つまり一枚目、入り口の
シャッターが開くと同時に、この二枚のシャッターは閉まるんだと思うんです」
「ふむ。だが、先にミュウツーがこの屋敷に来ているはず。何らかの手段を見つけてこのシャッターを開け、
その時から既に傷がついていたのではないか? 俺達が今まで傷を見落としていただけかもしれん」
「確かにあの傷だけではそうともとらえられますが……次はあれを」
 次にロゼリアが指したのは右のシャッターの下、隅。色合いからして、元は剥がれてそこら中に
散乱している四角い床タイルの一枚だったようだ。シャッターに挟まれでもしたのか
ばらばらに砕かれている。左のシャッターの隅にも同じ物があった。
「像のある部屋にまた戻る前に、シャッターにあれを立て掛けておいたんです。屋内ですから強風なんて吹きませんし、
地震なんて起きましたか? ちょっとやそっとじゃ倒れません。寄り掛かっていたものが動いたりしない限りは」
「……なるほど。では誰かにスイッチを押しに行かせればいいのだな」
「そういうことです」
 さて、どうするか。


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