第28章


[07] 



「しかしツイているぜ。まさかこいつがちゃんと保存されてる状態で見つかるとはな。解散した時のゴタゴタで処分されてると思ってたが、なあ?」
 黒服の一人、目の釣り上がった男がカプセルにぽんと手を置いて振り向き、研究員風の男に声をかける。
「ああ。暴走を起こしかけた一件から凍結され、それからどうなったかはわからなかったが……まさか失敗作の廃棄場代わりにしていたここに、専用のカプセルごと紛れ込んでいるとは」
「しかし一度暴走しかけた奴なんて大丈夫なのかぁ?」
 もう一人の黒服、腕組みをしながらカプセルを眺めていた小太りの男が不安げに尋ねる。
 研究員風の男はポケットからごそごそと何かの極小さなチップを取出し、小太りの男に渡して見せた。
「これから洗脳処理もしっかり施す。そして仕上げにこのポケモンの頭にもそれを埋め込むんだ。道中で失敗作共に俺達が襲われる事はなかっただろう?
 あいつらの頭にもそのチップが埋め込まれている。特定の信号を発している相手を襲わなくするんだ。お前達にも発信機を持たせておいたはずだ」
 むう、とうなった後、小太りの男はどこか不信を感じながらも黙った。
「へっ、こいつさえ操れりゃ何でも自由自在だ。かつての栄光を取り戻せばサカキ様も戻ってきて下さるはずだ」
 釣り目の男はもう一度カプセルをぽんと叩き、愛しげに撫で回した。
 ――ビーッ!
 突如、アラーム音が鳴り響く。驚いたように研究員は機械の一つに飛び付き、目を見開いた。
「バカなッ! 拒否反応だと? まずい、目覚めるぞ」


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