第28章


[08] 



「な、冗談だろ?」
「ダメだ、間に合わない。銃を構えておけ!」
 怯えた様子で男達が銃を用意する中、カプセルが煙を吹きながらゆっくりと開いていく。床が漏れだす培養液に濡れる。
 身に繋がれたコードを引きちぎりながら、そのポケモンは目覚めた。拘束具のプロテクターを剥ぎ取って握り潰し、そのポケモンは白い表皮をあらわにした。
 ――お前たちは……何だ。
 男達の頭に直接声が響く。
「ひ、ひいいッ!」
 恐怖に駆られ、黒服の男達がトリガーに指をかける。
「バカが! 早まるんじゃあないッ!」
 研究員風の男の制止を聞かず、白いポケモンに向けて黒服達は発砲する。しかし、白いポケモンが左手を掲げると弾丸は手前で固定されたようにピタリと止まった。
 ――敵、か。
 白いポケモンが左手を振るうと、固定されていた弾丸が勢い良く飛び、黒服達を撃ち抜いた。
 腰を抜かし後退る研究員風の男にじりじりと白いポケモンは歩み寄っていく。
 ――敵は……殺さなければならない。
「ひ……」
 断末魔の叫びが、洞窟内に木霊した。


[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.