第28章


[03] 



ある程度の高さまで上昇した後、風船の空気とオールである尾の振り加減を調節しながら高度を保つ――のだが。
 単独の飛行は随分と久しぶりだ。うまく勘が戻ってこず、上下に大きく揺さぶられながら必死にピジョン達についていく。
 余裕綽々でムウマージがぐるぐる飛び回り、気楽にミミロップとアブソルが空の旅を満喫する横で、俺は墜落してしまわぬようやっとの思いをしている。

 やっとコツを取り戻し始め、セキチクシティ上空に差し掛かった頃、辺りは大分明るくなっていた。
 朝焼けに染まる空と、それを反射し黄金に輝く海面。その光景にミミロップ達は目を奪われ、それぞれ感嘆の声を上げている。
 まったく呑気なものだ。これから先、双子島に何が待ち構えているのかわからぬというのに。

 しばらく海上を進むと、先の方に島の影が見えてきた。島には形のよく似た小さな岩山が二つ並んでいる。
「あれが双子島だ。昔は二つの島だったらしいが、地殻の変動か何かで一つになったんだそうだ。島までもうすぐだ、頑張ってくれ」




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