第27章


[08] 



 道なき道をひたすら北西を目指し進んでいく。この辺りには人間が滅多に来ないため安心はできるのだが、俺の顔をちくちくと的確に突くに丁度いい高さの雑草たちが非常に欝陶しい。
 そろそろ六番道路辺りには来れただろうか。これまでの道程でそれらしき姿を見かけることは無かった。見かけたといえばせいぜいオニスズメやポッポ等が頭上を飛び去ったくらいだ。
 ニャースの位置情報は今いるこの辺りだろうという不確かなもの。当てもなくあちらこちらを探り歩むが一向に見つかる気配は無い。木々の葉の合間から覗く空は少しずつ赤みを増している。
 ねぇ、と俺の背にミミロップの声がかかった。
「ちゃんと居場所はわかってるのよね? まさか適当に進んでるんじゃないでしょうね」
 はっきり言って図星である。痛い所を突かれ何も答えられず、振り返りもせずに俺は黙ってどんどん進む。
 きっと図星だったのよあれ、また深く考えもせずに突き進んだんですね、まぬけー、もしかして迷子なの? ――顔には雑草、背中には雑音がちくちくと刺さる。
 なんだか出発の時は自信満々で格好つけてたわよね、実際は何の根拠もなかったんですね、まぬけー、もしかして本当に迷子なの? ――うぐぐ……我慢の限界だ!
 目の前の雑草を思いきり払いのけ、大きく息を吸いながら振り返る。
「ええい、うるさい! 静かにし――」
 ――ふぎゃあッ!
 俺の怒鳴り声に反応するように、すぐ横の樹上から驚きが混じった叫び声が上がる。そして何かがその樹から落下し、どさりと音を立てた。



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