第27章


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ディグダの穴を抜けると、そこはクチバシティの東の外れ。潮の匂いが鼻をくすぐる。
 クチバシティはカントー地方の海の玄関といえる大きな港町だ。町は活気に溢れ、別の地方から訪れた外来の者達やこれから旅立つであろう人間達で常に賑わっている。
 当然、そんな町中をこんな昼下がりから俺達が通るわけには行かない。クチバシティ東の十一番道路を経由し、そこから北西へ抜けて目的地であるクチバシティの北――六番道路方面に向かうとしよう。
 海見たかったな、としゅんとするアブソルをなだめながらクチバシティを後にした。

 この東にのびる十一番道路という道は、非常に不可解な造りをしている。舗装された道はぐねぐねと迷路のように数本のび、その交錯する道の合間に草むらが点々と存在しているのだ。
 どうせならば真っすぐに舗装すれば良かろうに。人間は何を考えてこんな訳のわからない道にしたのだろうか。相当頭や性格がねじ曲がった者が設計を担当したに違いない。
 東の先、十二番道路に今は用は無い。この辺りは修業に励むトレーナーも多いと聞く。長居は無用、早く北西に抜けて六番道路を目指すとしよう。
 しかし、六番道路東の森辺りという大まかな情報で、はたしてニャースを見つけられるのだろうか……。今更ながら気付く。
 ニャースが確実に戻ってくる拠点がわかればいいのだが、住みかはヤマブキ周辺を気まぐれに転々としているようで、メタグロスもはっきりとした位置はわからないようであった。
 うーむ、こんなことミミロップ達には言えんな……。どうするか――。


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