第27章


[06] 



「ムウマージ、見せてやれ」
 ムウマージは不満そうな声を上げながら渋々メタグロスに石を渡す。
 渡された石をメタグロスは銀色の爪先で慎重に掴み、赤い目で穴が開きそうなほど見つめはじめた。キュインキュインと絶え間なくズーム音のようなものをたてている。
「ウム、コレハ琥珀ニ間違イナイナ。気ニナッテイタノハコノ中央ニ入ッテイル、コノ吸血性ノ小サナ昆虫。ドウヤラ何ラカノ生物ノ血液ガ未消化ノママ固マッタヨウダ。分析カラ導キダシタ年代カラシテ古代生物ノモノデアルコトハ間違イナイ」
 もういいぞ、とメタグロスは琥珀をムウマージに差し出す。飛び付くようにムウマージは琥珀を奪い返し、道具袋の中にごそごそと隠した。
「グレン島ニハ化石ナドカラ古代生物ヲ復元サセル研究ヲ行ッテイル施設ガアルト聞ク。ソノ琥珀カラモ何カヲ蘇ラセルコトガデキルカモシレンナ」
 グレン島か。あのような小さな虫に残された血液から生き物を復元できるなど、どうにも信じられん怪しい話だが……。一応、覚えておくとしよう。
 どうやって人間の目を盗んで復元をするのか、果たしてその時までにムウマージは琥珀に飽きているのか――色々と問題はあるがそれはその時に考えるか。
 とりあえず今はニャースが先だ。



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