第27章


[02] 




「この森ってたしか焼けたはずじゃあ……。不思議ですねえ」
 ロゼリアはぽかんとして木々を見渡す。
 確かにたった三年でここまで自然に治癒するものだろうか。記憶がどう改変されているか定かではないが、少なくともあの時から三年経っているという自覚は無いはずのミミロップ達は余計異常に思うであろう。
 深く考える暇もなく、何か大きな物体が空を切るような高い音を耳がとらえる。
 それは空から。見上げると青い空に黒い点が一つ。音と共に点は徐々に大きくなり、それが青く光る鉄のような物体であることがわかった。
 ミミロップ達はまた何かの襲撃かと騒ぐ。いや――あれは恐らく……少々、大きくなってはいるが――。
 物体は木の背より少し高い高度で一気に速度を緩め、ふわふわと俺達の前へ降りてきた。
 円盤のような部位と、四本の腕のような部位だけで形成された無機質な青く輝く鋼の体。飛行時に頭上に折り畳んだ腕を脚のように展開し、重量感ある音と共に地上へ着いた。
 がしゃがしゃと機械的な動きで、全体的に蜘蛛か蟹のようなフォルムをしたその物体はこちらに顔と思われるものを向ける。顔面にはバツ字にクロスした銀色の鉄がはめ込まれ、そのバツ字を挟んで左右二つある暗い空洞には赤い目が輝く。
 キュイン、とカメラがズームするような音を立てて俺達を赤い目で数秒見回した後、体の下部を開いた。どうやら口のようだ。
「――ぴかちゅう及ビソノ従者ト確認。フウム、驚イタ。めいんかめらニヨル分析ヲ行イ、過去ノでーたト照合シタガ、殆ド変ワッテイナイトハ」



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