第27章


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「じゃ、解散ニャー」
 ペルシアンの一声で鳥達は四方八方に散っていく。
「よく利く耳だ。いつもあのような調子なのか」
「まあニャ。ちょっとしたコツは有るけど――」
 コツ? ――俺がそう聞き返す前にペルシアンの六本ひげがぴくりと何かに反応したように動く。
 その直後に横の草むらが小さく揺れ、ペルシアンはそこに向かって勢い良く飛び掛かった。
 ぢゅっ、と揺れた草むらから短い悲鳴が響く。ペルシアンは何かをくわえたままこちらに振り向き、それを地へと叩きつけて前足で押さえ付けた。
 足の下で必死にもがいているのはコラッタ。長い前歯が目立つ紫色の小さなネズミポケモンだ。
「時々、こういうボクの所に集まる情報を狙ってタダで盗み聞きしようとする“鼠”がいるのニャー。今回は文字通りのネズミだったニャ……」
 ピュィーッ、と長く高い音でペルシアンは口笛を鳴らした。一分もしない内に大きな羽音とともにピジョンが現れ、ペルシアンはコラッタをくわえて高く宙に放り出す。
 ピジョンは滑空しながら投げ渡されたコラッタを両足でしっかりと捕らえ、ペルシアンの上空を一礼するように旋回した後、飛びさっていった。
「給料って奴ニャ。あの後にコラッタがどうなるかは考えない方がいいニャー。自然界はキビシーのニャ」
 ……その方が良さそうだ。



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