第27章


[10] 



「……ずっと見ていたのか?」
「その通り。ボクの目達がばっちりとニャー」
 そう含みを持たせように言い、ペルシアンは左の口端をにやっと上げた。
 どういうことであろうか。道中にずっとつけられているような気配は感じなかった。
 それに、低木や背の低い雑草しかない平原ならともかく、背の高い木々や草が鬱蒼と生い茂る見通しの悪い森の中で遠くの様子を伺うなど不可能なはず。
 俺達が来ようとしていた事を事前に知っていた風なのも不可解だ。俺達が六番道路に向かおうとしていたのを知っているのはメタグロスだけのはず。
 俺達がディグダの穴を出た後ペルシアンがたまたま訪れ、話を聞いて先回りしていたとは考えにくい。
「気付かなかったかニャー? ボクの目達はずっとあんたらを見てたんだけどニャー」
 考え込む俺を見、ペルシアンは得意げににやにやと笑む。
 見かけたものなど精々、小型の鳥ポケモン達が俺達の頭上を数回ほど飛び去っていったくらい……――!
「その感じだと何となくわかったかニャー? そろそろ一斉報告の時間だニャ……。紹介するニャ――」
 そう言うとペルシアンは深く息を吸い、地に四肢をしっかりと構え、思いきり大きな鳴き声を上げた。
 ガサガサと森の木の葉達がここを包囲するかのように一斉にさざめき始め、無数に重なった羽音がそこら中から集まってくる。
 木の葉と羽音の大合唱が収まる頃には、森中を埋め尽くしているのではないかと思ってしまうほどに、木という木の枝という枝に鳥ポケモン達がずらりと並んでいた。
「これがボクの――カントー一番の情報通、ペルシアンの目達だニャー」



[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.