第26章


[05] 



 目を開けた途端、サンドパンは飛び上がるように起き上がり、こちらにまた身構える。
 しかし、すぐに力なくがくりと片手と膝を地についてしまった。息を荒くしながら、サンドパンはこちらを睨み上げる。
「ぐぐー……くっそ! お前は、一体何だってんだよォッ!」
 それは有無を言う暇もなくいきなり襲撃されたこちらがそっくりそのまま返したい言葉だ。そう言いたい気持ちをぐっとこらえ、目の前で悔しそうに喚く針鼠に名を名乗り、目的を告げた。

「なっにィッ! それじゃあお前らが――」
 飛び跳ねそうなほど驚愕するサンドパン。
「そうだよ」
 サンドパンに答えるように、上の方から何者かの声が聞こえる。このじめっとした、茸でも生えてきそうな陰気な喋り方は――。
 俺達が高台を一斉に見上げると、大きな赤い茸が茶色の甲殻に包まれた手足を動かしながら、こちらに向かって高台を下りてきていた。ある程度の高さまで下りるると、一気に飛び降りて俺達とサンドパンの間に降り立った。
「久しぶり。ピカチュウ――様。三年前とまったく変わってなくて驚いたよ。僕はこの通り変わったのに」
 多少見た目は違ってしまっているが、間違いない。こいつはパラス――三年前に、手下にしたあのパラスだ。
「あっちゃー……またやっちまった?」
 深く反省する風もなく頭をぽりぽりと掻くサンドパンをパラス――進化を遂げた現在はパラセクト――は横目で見、大きくため息を吐いた後にこちらに目を戻した。
「ごめん、こいつ馬鹿だから……。ご一行様の特徴はちゃんと伝えておいたんだけどね……」




[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.