第26章


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「ちょ、ちょっと! 落ち着いてください、ピカチュウさん!」
 目の前の騒音風船に、電気をこめた拳で成敗しよううと飛び掛かろうとしていた俺を、ロゼリアが押さえて邪魔をする。
「は・な・せぇっ!」
「ミ、ミミロップさん、ピカチュウさんを止めるの手伝って下さいぃ!」

          ・

「――では、プクリンのようになれさえすれば、お前は練習を止めるのだな?」
 ミミロップに両腕で捕らえられ宙ぶらりんな姿勢のまま俺はプリンに云う。
「そうですぅ。やっとわかってくれましたぁ。まったく、わからずやの鼠ですぅ」
「この――ッ!」
「まあまあ……」
 修正をくわえてやろうと掴み掛かろうとする手足は虚しく空を掻く。
 先程からこんな調子でずっと続いていた話も、プリンは憧れのプクリンという存在に何とか近付くことができれば練習は止めるということで、ようやくまとまった。
 後はその方法だ。
「そうですね、せっかく練習していたんですし歌の方を何とかしませんか」
 そうロゼリアが云い出し始まったレッスンであったが――。



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