第25章


[26] 



「抜け道――だと?」
「えぇん。あんた、あたしの部屋にある天窓は見たでしょおん? あの上、舗装されてなくて人間は登ってこれない、九番道路沿いの山道に繋がっているのよぉん。北側の崖の上ね。そこを進んでいけば、丁度、ハナダシティ北東の小さな森辺りにたどり着けるってわけぇ」
 遠回りをしなくて済むのならばそれに越したことはない。ニャースなど別に後回しで構わないだろう。
 申し出を受け入れる旨を伝えると、カイリキーは立ち上がり、付いてこいと俺達に言った。
 例の長い廊下をぞろぞろと渡りきり、体格に合わない階段を登らされる。その高い段に登り辛そうに登っているであろう俺とロゼリア。
 何段目かに手をかけた時、マントの裾に何かを引っ掛かけられ、突然、身を宙にひょいと浮かされた。落ちそうになっている事態を理解し、声を上げそうになる前にぽふんと俺は白いもふもふした背中に着地する。
 俺の後ろにいたのはアブソル。どうやらわざと俺のマントを引っ掛けて持ち上げ、背中に乗せたらしい。
「……何のつもりだ」
「登りにくそうだったから」
 仮にも神にまたがるのはどうかと思ったが、自ら言い出した事だし、まあ、いいか。難儀していたところだ、ここは甘えさせてもらうとしよう。
 同じように苦労していたロゼリアの方を見ると、ミミロップが仕方なさそうに持ち上げていた。ミミロップは俺を不機嫌そうに睨んでいる。ロゼリアはその状況に居心地悪そうにただ苦笑していた。
 何故、俺が睨まれなければならないのか、皆目、見当もつかない。持ち上げるのが嫌ならば止めればいいではないか。
 腑に落ちない気分にさせられながらも階段を登りきった。



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