第25章


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 これからの予定はどうするのか。俺はミミロップ達を広間に集め、イワヤマトンネルを抜け、とりあえずおつきみ山へ向かうと告げた。
 前日にイワーク達に聞いた、おつきみ山が人間達の手により、随分とポケモンが住みにくく変えられたという噂が気に掛かったためだ。
 だが、一つ問題がある。イワヤマトンネルを抜けた先の道路は、九番、十番どちらも幅が狭い谷底のようになっていて、草木が少なく、非常に人目を避けにくい。
 一人連れ歩かなければならない人数が増えた今、普通に通ることは尚更難しい。と、付け加えた。
 ちらりとアブソルの方へ目をやると、少し申し訳なさそうにしゅんとしている。気にすることないですよ、ロゼリアがアブソルをフォローする。ピカチュウはいじわるだからねー、ムウマージが続けた。
 何気ない、そんなつもりの無い一言で随分と悪党扱いされてしまった。事実、いわゆる世界征服を目指しているわけだし、悪党扱いで別に構わないのだが、どうにも気分が悪い。
 さて、前回は――正直な話、記憶が曖昧ではあるが――ここから南西にある、ヤマブキシティの南の道路――つまり六番道路辺りから強引に山道や獣道を北東に抜け、イワヤマトンネルの九番道路側の入り口にたどり着いたはず。
 こちらならば多少遠回りになるが、人間にばったり出くわしてしまうことは無いだろう。急がば回れ――目標には出来る限りの最短距離で真っ先に目指さねば気が焦る性分の俺にとって、あまり好ましくはない言葉である。しかし、今回はそれに従わざるをえなそうだ。
 滅多に無いことだ、感謝しろ。何に向けて言っているのか、そして言えばいいのかわからないそんな悪態じみた言葉を頭の中で呟きつつ、ついでにニャースの様子でも見に行けばいいではないか。
 自らの心に言い訳をし、迂回するルートを選ぶことを口にしようとしたその時――。
 流れでただなんとなくといった様子であぐらをかきながら俺達の話を聞いていたカイリキーから、それなら良い話があると横槍が入る。



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