第25章


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「この……! 糞ガキゃあ!」
 養分の吸収攻撃を受け、カイリキーは身をびくびくと少し痙攣させながらも腕を振りかぶり、咄嗟にロゼリアを投げ飛ばした。
 それを見計らい、尾に瞬間的に強く電流を流しこむ。スパーク音を立て、万力のように俺の尾を掴み挟んでいたカイリキーの手の筋肉がびくりと反応し、開いた。
 落下しながら体の向きを整え、着地の瞬間に尾で地を踏張るように叩き、その勢いで奴の間合いの外に退く。
 ちらと、ロゼリアが投げ飛ばされた方へ目をやると、ロゼリアは両手と両膝を地面につき、気分が悪そうにうなだれている。アブソルに背中をさすってもらいながら、あんなもの吸わなきゃよかったといった類の、後悔や弱音を漏らしていた。
 心には多少の傷を受けていそうだが、投げ飛ばされて物理的な傷を負った様子は無く、とりあえずは無事なようだ。ムウマージにでも受けとめられたか。
 さて、後は盾を失った筋肉達磨をどうにかするだけだ。バチバチと電気がほとばしる右腕を、鼻息を荒くしながら額に青筋を浮かべているカイリキーへと向ける。



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