第25章


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 突然、カイリキーは自分の両頬を強く数回叩いた。そして大きく息を吐きだすと、浮き出ていた額の青筋が消え、体中から静かに殺気を放ち始める。
「あんた、中々、味な真似をしてくれるじゃなぁい。その目付き、嫌なものを思い出させてくれるわぁ。いいわよぉ――」
 カイリキーは全身に力を込め、独特な構えを取る。身を守るということをを完全に無視した、一見、隙だらけの構え。だが、異様な威圧感を放っている。
「全力を出して相手をしてやるわぁん! 我が構えに防御は無用。肉は少し切られとも、次の瞬間には相手の体は骨ごと粉微塵よ。さあ、どこからでもかかってらっしゃい!」
 奴の体が一回りも大きくなって見える。凄まじい気迫だ。だが――。
「それがどうした」
 カイリキーは、え? と、今にも声に出して言いそうな顔をする。
 目一杯、電流を集めた右腕を、俺は見せ付けるように掲げた。
「そ、そんな遠くから攻撃ってずるくなぁい?」
 意図に気付いたカイリキーが明らかに焦った表情を見せる。もう遅い。
 近づきさえしなければ、隙だらけの体を晒しているにすぎん。普段なら当てにくく使い辛い技だが、的があれだけ隙だらけならば問題ない。
「我が制裁に問答は無用。言い逃れようとも雷一閃、次の瞬間には相手は黒焦げだ」
 轟雷制裁。



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