第23章


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 必死に振りほどこうともがく
 が、見えない爪のようなものが奴の砕けてた指先から伸び、左足に食い込んでいる
「逃がしはせん……」
 黒い波動がもう片方の腕で渦を巻き、俺を消し去ろうと腕を振り上げる
「チイィッ!」
 無理やり右足で床を蹴り上げ、尻尾を左足に巻きつく奴の腕に叩きつける
 一瞬腕が緩む――間一髪左足を引き抜き、後ろに飛び退いた

「ぐッ!」
 着地と同時に左足に激痛が走り、踏ん張りが利かず後ろに倒れこんでしまった
 無理に引き抜いた左足には三本の爪跡が広がっている
 ゆっくりと――起き上がれない俺のほうに奴が向かってきた
「ククク、、、無様だな…それではもう動けまい…」
 金の腕輪から光を放つも、見えない爪に軽くはじかれた
「今のが最後の攻撃か?ならば・・・・・死ねッ!」

 爪が俺に向かって振り下ろされる―――ここまでか?
 無駄と分かりつつも両腕で顔を守る

 ドスッ

 爪が突き刺さる鈍い音――しかし不思議と痛みはない
 顔を上げると、目の前は白――アブソルが俺の上に覆いかぶさっていた



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