第23章


[27] 



「ピカチュウ、後ろ!」
 アブソルが叫ぶ。
 振り返らずに俺は上に跳躍した。その刹那、黒い刃がつい先程までいた地に突き刺さる。
 俺はそのまま宙返りして勢いをつけ、黒い腕が伸びてきた方へ硬質化させた尾を振り下ろした。金属同士が激しくぶつかる音が響く。
 俺が振り下ろした尾をダークライは両手で防いでいた。ぎりぎりと擦れ合い火花が散る。
「鼠ぃッ!」
 尾を強引に弾き飛ばされ、俺は体勢を宙で整えて足の裏でブレーキをかけるように着地した。足の裏が摩擦で焼ける。
 ダークライは右手の甲を押さえている。退かずに無理に尾を弾いたせいで欠けたであろう両手の伸びた指の先が、ぼろぼろと崩れ落ちた。
「どうした? そのなまくらで俺を引き裂くのだろう?」
 ダークライは顔をさらに怒りで歪ませ、こちらを睨んだ。



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