第23章


[13] 


 突然、灰色の世界が揺れ、上空にひびが入った。
「な、何ごとだ!?」
「この空間に直接干渉を受けたようです。これは――。」
 ひびから石の欠けらのような物が落ちてくる。その欠けらに反響するように、腕輪と石板が今までにない強い光を放った。
「何が起こっているんだ……」
 光が当たった部位は色を取り戻し、蠢く灰色の根や木々は枯れていく。光はどんどん広がっていき、目も十分に開けていられない程だ。
 大きく広がった光は数回瞬き、邪悪な植物と、クレセリアを閉じ込めていた茨を一掃した後、収まってしまった。
「何だったんだ……」
「……ここから出ましょう」
「何? 出られないのでは――」
 クレセリアはにこりと微笑む。
「状況が変わりました。さあ、早く私に乗りなさい」「あ、ああ……ニャルマー、行くぞ」
 ふと、倒れているサカキが俺の目に入った。
「……どうするんだい?」
 ニャルマーが気付き、尋ねてくる。奴は敵、憎むべき存在。だが――。

「……奴も乗せろ」
「ひどい事した奴なんだよ? ……いいのかい?」
 あの人間を許すことはできない。だが、ここでは死なせない。人間の起こした所業は人間の手で裁かせ、生きて償わせてやる。
「ニャルマー、手伝え」
「……わかったよ――」




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