第23章


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 パラスがダークライに正面から飛び掛かる。撃ち落とそうと、ダークライが手に力を凝集させた。
 このままでは、パラスは間合いに入る前に撃ち落とされてしまう。その時、ニャースの影がずるりと抜け出して翼を持つ竜のような形に姿を変え、咆哮を上げた。
 すると、次の瞬間にはパラスの位置は、時がずれてしまったかのごとく、既に爪の届く間合いへと近づいていた。
 起こりうるはずが無い事象。完全に不意を突かれ、ダークライには避けるすべがない。そして気付く。

「貴様らは――ッ!」
「気付いた時にはもう遅いのですよ」
 パラスから抜け出した蛇のような影が首を横に振ると、動きに合わせダークライの体が裂かれる。それと同時に、パラスが“何か”をダークライの体内に打ち込んだ。
「――ッ!?」
 傷口を押さえ、ダークライは後ろに飛び退き、パラスから距離をとる。
「本来の力が出せればこのまま真っ二つにできたものを。残念ですねえ」




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