第22章


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 シルフビルの上空、ボーマンダ達の近くに不気味な銀色の火の玉が現れる。
 その火の玉の周りを一つ一つ円を描く様に鬼火が灯っていく。九つ鬼火が灯ると銀色の火の玉が大きく燃え上がった。
 炎は徐々に形を変え獣の形を成していく。鬼火を掴む様に九つ炎が伸び、九本の尾が出来上がった。
 炎の中から現われたのは九本の尾を持つ狐――キュウコン。白銀色の毛並みが妖しく輝く。

「随分と派手なご登場ですね――ギラティナ」
「我が下へと流れてくる筈の百八の魂が消えた。……貴様の仕業かパルキア」
 ギラティナと呼ばれた白銀色のキュウコンがミロカロスに詰め寄る。
「そうだ、と言ったらどうするおつもりですか?」
「貴様……ッ! またあのおぞましい所業を……!?」
 九本の尾が影となり、ギラティナの翼によく似た形へと姿を変えた。赤い翼爪となった尾の先端をミロカロスに向け、キュウコンは唸る。
 今にも飛び掛かりそうなキュウコンと、嘲笑を浮かべながらそれを見据えるミロカロスの間にボーマンダが割って入った。

「やめろ、パルキア。ギラティナ、誤解だ。我らの仕業ではない」
「何だと?」
 キュウコンの尾が元の白銀色に戻る。

「……その通りですよギラティナ」




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