第21章


[22] 


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
――シンオウ、キッサキ。マニューラのアジトにて。

広間の真ん中に氷柱が二本立てられ、その間にハンモックが吊してある。
マニューラはそこに寝転び昼寝をしていた。
そんな広間にいつものメスのニューラがやってくる。何かマニューラに伝える用事があるようだが、急ぐ様子もなく気だるそうに、寝ているマニューラの方へ歩いていく。
ニューラはだらしない格好で寝ているマニューラを見て深いため息をついた後、ハンモックが吊されている柱の一本を強く蹴った。
支えを蹴られたハンモックはゆさゆさと激しく揺れ、上に寝ていたマニューラを振り落とす。

「ヒャンッ――!?」
文字通り飛び起こされたマニューラは地面にびたんと落下した。
「いたた……てめー、何しやがる!」
「普通に起こしても起きないでしょ?それにあんなだらしない格好で寝るのは止めなさいな。あんたは一応――」
「……それよりオレをわざわざ起こして何のよーだ?」
ニューラの小煩い小言を切る様に、マニューラはひょいと起き上がり用件を訪ねる。
「ああ、そうだったわ。ユキノオーから会食のお誘いよ、マニューラ。小難しいことたらたら言っていたけど、要するに一緒にご飯食べてもっと仲良くしましょうって事ね」
「げ、マジかよ」
ユキノオーからの誘いの話を聞き、マニューラはあからさまに嫌な顔をする。
元々ユキノオーとマニューラは敵対関係にあったし、ピカチュウの手により半ば無理矢理、同盟を組まされた後もニューラ達はユキカブリ達を嫌っていた。
機敏に動ける彼らにとって(普段はアジトでぐうたら暮らしているが)、のろまで鈍臭いユキカブリ達は見ていて苛々するらしい。
そして陽気なニューラ達はユキカブリ達の“ノリ”の悪さを何より嫌がるのだ。
マニューラも同じ理由でユキノオーとユキカブリ達を嫌っている。気が乗らないのも無理は無いだろう。
マニューラにとってつまらない会食になるのは目に見えている。


「パス――」
「ダメよ。一応、あいつらとは同盟組んでんだから、こういうのにも参加しないと。鼠にまた何かうるさく言われるのもウザったいわ」
「……確かにそれはウゼーな。」
ふう、と諦めたような息を吐くマニューラ。
「しょーがねえ、行ってくるぜ」
「そう。じゃあ、くれぐれもニューラ族に恥をかかせる真似はしないでね」
「へー、へー」――


[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.