第20章


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 ――確かにすごい力だけど……。でも、何だか……
 ピカチュウはニャルマーを見ながら思う。
 力を使うたびにニャルマーの命が削れていっているように、ピカチュウには見えた。

「我が膝をつくなど、いつ以来の事か――」
 バンギラスは付いていた膝をあげる。
「かつての宿敵と邂逅し、この様な強者とも……何という日よ。まだだ……まだ味わい足りぬ!」
 砂がバンギラスに集い、傷ついた岩の鎧を修復していく。

「あれだけやっても立ち上がるのかい…タフな奴だね」
 ニャルマーは舌打ちし、憎悪に満ちた目でバンギラスを睨む。
「それなら立ち上がらなくなるまで、何度でも叩きつけてや――」
「待つんだ」
 ピカチュウがニャルマーの行く手を右手で遮り、止めた。
 ニャルマーは自分の前に突き出された、邪魔な右手を払い除ける。
「邪魔だよ、どき――ッ!?」
 言葉の途中でニャルマーは苦しそうな顔をし、前足からがくりと倒れこむ。
「やっぱりか……その力は君には大きすぎるよ。もう止すんだ」
「うるさいね……復讐さえ出来れば、アタシがどうなろうと関係ないんだ! アンタに……アンタなんかに邪魔はさせない」
 よろよろとニャルマーは立ち上がり、右腕に光を集めようとするが、
「ごめん――」
 ピカチュウはそう呟いた後、ニャルマーに加減した電流を流し気絶させた。

「君まで死なせるわけには行かない。後は任せて。」




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