〜第3章〜


[06]ギクシャク


「…ハルカさん。朝食…」

「うわぁぁっ!ノックしろよな。」
ちょうどハルカが着替えている最中だった。
女の子みたいにハルカが体を隠す。

「…あぁすみません。」

あの日からハルカは、猛烈にレイを意識するようになっていた。

一方、やり過ぎたな…と少し反省するレイだった。

食卓も少しぎこちなくて、寝る時も背中をむけて眠っていた。


「…参りましたねぇ…。」


レイは、ビーフシチューの材料を手に取り考える。

そのレイの考える後姿を見てハルカは、ドキドキしていた。

自分でも気付かないうちにハルカは、レイに依存し始めていた。


レイの整った顔、低く色っぽい声、長い指先、レイを見てハルカは、ボーっと見とれてしまう。

「…ハルカさん?」

「!!…なっなんだよ。」

「あれ?聞いてませんでした?」

「えっ?」

「絵のモデルの話ですよ。できればハルカさんにしていただきたいのです。」


「…俺無理だよ。」
今のハルカには難しい話だった。
レイに見つめられると息が止まってしまう。
モデルどころじゃなかった。

「…仕方ないですね。他の方にモデルを頼みます。」

「えっ…いいのか?」
「…無理にモデルをしていただいてもいぃ絵は、描けません。書く側と書かれる側の気持ちが一つにならないと。」

「…ごめん…。」

「…その代わり明後日にモデルの歩睦(アユム)さんが来られるんでよろしくお願いします。」

「…わかったよ。」

ハルカは、レイに申し訳ない気持ちになっていた。

「…根性なし…俺。」


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