〜第3章〜


[12]シンデレラ


辺りは、すっかり暗くなっていた。
ハルカは、ベッドの上で歩矛とレイの事を考えていた。


「……女の人っていぃ香りするんだなぁ。」
レイもやっぱり女の人の方がいぃよなぁ…。

なんだか懐かしい感じがした。


あの感じは、懐かしい感覚は、幼い頃に?


母親………?


おかあ…さん…?



コンコンッ…。

「…!!」

思わずベッドから起き上がる。


「…入りますよ。」

「わわっ……。」
慌てて寝たふりをする。


ガチャッ……。


「…寝てますか?」
レイがベッドに腰掛ける。

『なんで…寝てるのに座るんだよ!』
心の中でハルカが思う。

レイがハルカの髪を触る。

「今日はあまり、いぃ絵が書けませんでした…。歩矛さんには、申し訳ないですが私は…ハルカさんの事ばかり考えていました。」


「…………。」
ハルカの心臓が高鳴る。

「…次は、アナタを描けると嬉しいです。」

心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい心臓がうるさかった。


レイがハルカの頬に手を添えた。

目を閉じていてもレイの顔が近くなるのがわかった。


「………」
これが2度目のキスになった。
唇が離れた瞬間に思わず目を見開いてしまった。

さっき流し終わったはずの涙がまた流れていた。

「…っ…なんで寝てるのに話かけて…キスすんだよ…ばぁーか…。」

「やっと起きてくれましたか?シンデレラ。」


「誰がシンデレラだよ!ってか…やっと…って?」


「起きてたの知ってました。」
クスッとレイが笑う。

「なっ…」
体中の体温が一気に上昇する。
バレてたのか……。



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