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負けない!!負け犬【３】～私とＪｒ.と銀時と～《連載中》

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[16]11月12日(神楽)

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今日は秋晴れで暖かい。

定春の背中に真っ赤なベビーシートを乗せて、金太郎とお散歩に出掛けるネ。

金太郎は定春の上で小さな手足をパタパタ動かして、嬉しそうにキャッキャと声をあげている。

「あんまり動くと落っこちて、お前の父ちゃんみたいに残念なオツムの大人になるアルヨ。」

フワフワの銀髪を撫でて言い聞かせると、金太郎はすぐにおとなしくなった。

どうやらこの子は父親に似ず、お利口さんみたいアルネ。

繁華街を闊歩していると、向こうから大きな買い物袋を両手に持ったヤツが歩いて来た。

袋の中身は全てマヨネーズ!!

「おぉ、お前らか。

何、金太郎の散歩か？」

マヨラーの土方は重たそうな二つの袋を提げて、嬉しげな顔をしながら去って行った。

心なしか軽くスキップを踏んでいるようにも見える。

「金太郎、アレはダメな大人の見本アル。

マヨネーズは食べ過ぎるとコレステロール値がアゲアゲになって、健康診断でお医者さんに苦い顔をされること間違い無しネ。」

「あぅ～」

私の言葉を理解したのかしてないのか、金太郎は返事をした。

しばらく行くと、今度はキレイな長い黒髪の男と、でっかい宇宙生物がセットでやって来た。

「おぉ、これはこれはリーダーではないか。

む？その赤ん坊はまさか…やはり！

[幕府の犬]の子供だな!!

フン、さすがだな。生まれた時から生意気そうなツラをしている。」

金太郎に向かって悪態をつく桂に、エリザベスがプラカードを掲げた。

『お前の親友の顔とそっくり』

二人はお尋ね者という立場も無視し、ハッハッハと高笑いをしながら立ち去って行った。

「金太郎、アレもダメな大人の見本アル。

あんな髪長いと、シャンプーの量ハンパないし、シャワーの水道代もバカにならないアルヨ。今時流行らないネ。」

「あば～」

またしばらく歩くと、今度は求人雑誌を電話帳並みの厚さに束ねて持ち歩くアイツがやって来た。

「よぉ～う、神楽ちゃんじゃない。

お、銀さんとこの赤ん坊も一緒かい？お～よちよち。

ッかぁぁ～！カワイイね!!俺の指を握って離さないよ。」

「早く金太郎から離れるアル！

じゃないとお前のマダオ菌が汚れのない金太郎に蔓延して、将来エライ事になるネ!!」

傘でマダオの横腹を突くと、マダオはしぶしぶと金太郎から離れ、小さくバイバイをしながら立ち去った。

「金太郎、アレは最もダメな大人の見本アル。

気安く触るとバカと不幸が乗り移って、ハローワークの呪縛から逃れられなくなるアルヨ。」

「うぶ～」

あ～あ、世の中ロクなヤツらがいないアルね。

マヨラーに時代錯誤にハローワーカー、ストーカーにドＳに糖尿病寸前。

「…金太郎、お前はパピーに似た残念な容姿に生まれちゃったけど、中身だけはマミーに似たデキるヤツに育つアルヨ。」

ベビーシートのベルトを外して金太郎を抱っこしてやると、細い目をもっと細くしてニッコリと笑った。

その横を、一台の戦車が最高速度で通り過ぎた。

窓を開けて箱乗りして、

「ヅラ、待ちやがれコノヤロー!!」

とマイクで叫んでいたのは、紛れも無く金太郎の母親だった。

「…金太郎、あんたは残念な両親から生まれた、大変残念なお子さんアル。

真っ当な将来は諦めるネ。」

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