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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[09]１２月３日(銀時)

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｢今日は夜の仕事が入ったから、よろしく頼むわ。｣

出勤前の玄関で、革靴を履く華蓮に業務連絡しておく。

｢あら、そうなの？

私も今日は遅くなるのよ。

じゃあ、神楽ちゃん達は夜、ちゃんと玄関の鍵閉めて寝てね。

行ってきまーす！｣

そう言っていつものように定春にまたがり、出勤する華蓮の後ろ姿を見送りながら、俺は多少の罪悪感と自己嫌悪に見舞われた…。

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｢ほらぁ、パー子ちゃん！

ここでクルッと一回りして、その後もっと腰をくねらすんだったでしょ!!｣

ここはマドマーゼル西郷が経営するオカマの聖地[かまっ娘クラブ]。

そしてパー子とは…俺の源氏名だ。

俺の攘夷志士だった頃の大先輩・西郷の依頼で、手の足りないこの店を今日だけ手伝う事になったのだ。

『準備中』の看板を掲げている今は、夜のステージの舞踊を練習させられている。

情けない…

花柄の着物を着せられ、化粧を施され、扇子持って、腰振って…

先輩からの言い付け、そして金の為とはいえ、我ながらこの姿は情けない…。

おまけに何だ、パー子って。

天パーのパー子ちゃんってか!!

｢コォラァァァァ!!サボんじゃねェ!!

もっとスマイル振り撒けェェェ!!｣

…ハイハイ。

いかつい身体してオカマ張ってんじゃねーよ、ジジィ。

…いや、ババァか？

・―・―・―・―・―・

今日はお偉いさんの接待御一行が来るとかで、人手が必要らしい。

俺もそのテーブルに着くよう指示された。

チクショウ！

こうなったらバイト代だけじゃ気が済まねぇ。

お偉いさん御一行とやらの金で、タダ酒バンバン飲んでやる!!

ドンペリなんか水を飲むが如く注ぎまくってやらァァァ～!!

つーか酒でもかっ食らわねぇとやってらんねぇって、こんな格好…。

｢みんな～、いらしたわよ～！｣

どうやらお偉いさん達が到着したようだ。

[かまっ娘クラブ]総勢１０人程が玄関で花道を作り、客を出迎える。

｢よぉ～う、西郷ママ!!

今日も一丁頼むよぅぅ。｣

一番前を歩いてるオッサン…あれ？コイツ見た事あんぞ。

確か松平とかいう警察庁長官じゃあ…

その後ろからは、かみしも着けた偉そーな奴ら数名が入って来た。

あ、あの中のロン毛、前にマダオの裁判の時に戦った破牙検事じゃねーか!!

あーもぅヤダなぁ、今日の仕事…。

まだ後ろからゾロゾロついて来てんぞ。

…って、あの制服まさか…

真選組じゃねーか!!

マズイ、絶っっっ対マズイ!!

今ここから見えているのはゴリラとニコチンマヨ中毒とドＳ王子だけだが、おそらくアイツもいるはずだ。
酒好きのアイツがいない訳がない。

順々と店内に入る客に顔を見られないよううつ向いたまま様子を伺っていると…

キターーーーー!!

うちのかみさん･華蓮様

やっぱキターーー!!!

最悪じゃねーか、コレ。

バレたらエライ目に遭うよ。

前にテレビで大地真央が｢アゴをしゃくっとけば顔バレない｣っつってたけど、さすがにかみさんにはバレるって。

あ～俺の結婚生活も、これにて終了かな…。

・―・―・―・―・―・

テーブルについた。

今日は大人数なので、半円状のテーブルを二つくっ付け、円状にしてある。

あろう事か、俺は華蓮の真向かいに座る事になってしまった。

バレる。ここじゃあ確実にバレバレだ。

よーし、こうなったらやれる限りの事は全てやろう。

腹くくってアゴしゃくって、うつ向いたまんまで酒ガンガン飲んでやるぞ、コノヤロー!!

｢ママァ～、早速ドンペリ一本、松平さんから入りました～!!｣

ハッ！やべぇ。

ドンペリ入っちゃったよ。

俺、｢ドンペリ入ったら[ドンペリコール]やれ｣って西郷に言われてんだった。

しゃくってらんねーじゃんよォォォ!!

あ～…クソ、もうどうにでもなれ!!
さらば大地真央!!

その瞬間、俺の中で何かがはじけた気がした。

｢男・松平様よりィィィ、ドンペリ～～ニョ入りましたァァァ～!!

よーしみんなでドンペリコール行ってみよォォォ～!!!｣

ソファーの背もたれの上に立ち、足をおっぴろげるオカマのパー子ちゃんの掛け声に、一行は一気に盛り上がった。

…が、しかし、真選組４名は、腰を振りながらコールを煽るパー子ちゃんを前に、凍っていた。

土方がボソボソと華蓮に耳打ちしている。

…あ、腹殴られた。

おおかた｢アレってお前んちの旦那じゃね？｣くらいの事言ったんだろ。

お、ゴリラとドＳ王子も何かヒソヒソやりはじめたぞ。

…あ、ヘッドロックかけられた。

やっぱアイツらは気付いてやがる。

パー子＝坂田銀時

って…。

そんな事より、破牙検事が場所移動を始めたぞ。

そこら辺のオカマにゃ目もくれず、たどり着いたのは…アァァァーー！

華蓮の横!!

ヤバい。アイツは不倫・∞股・ヤリ逃げの帝王だ。

旦那がオカマの格好で酒かっ食らってる今、華蓮はイケメン検事に路線変更しかねねェ。

何とかしなけりゃてめーの嫁さん、目の前でテイクアウトされちまうよォォォ!!

あっ何だよ、早速手ェ握られて、｢悪い気しない｣みたいな感じになってんじゃんか。

ちょっ…華蓮おま…｢ざまーみろ｣みたいな目でこっち見てんじゃねーよ!!

チクショウ破牙の野郎め…

よーし。見てろよ、スケコマシ検事が！

俺は破牙検事の耳元に寄り、囁いてやった。

｢そんな女、やめときなよォ。

コイツ、こんなキレイな顔してスタイルも良いけどすご～く乱暴で、ちょっとでも怒らすとコブラツイスト・タワーブリッジ・キン肉バスターの三連発食らわすのよォ。

さらには淋病・梅毒・クラミジア持ちの性病三冠王なんだからァ～♪｣

破牙検事の顔はみるみるうちに笑顔を失い、青くなった。

うっかり握ったままだった手に気が付いて慌てて離したら、コップにぶつかりビールがこぼれ、奴の白い着物の股に掛かった。

｢やぁ～だァ、キモ～イ。

何ソレ、破牙さんったらお漏らしィ!?

それとも新しいプレイィィ!?｣

ざまーみろ!!

人んちの嫁さんに手ェつけようとした罰だ。

助かって良かったな、華蓮。

もう少しで奴の毒牙にかかるとこだっ…

あれ？

何か華蓮怒ってる…？

手招きされ、トイレに連れ込まれた。

あ…ヤな予感…

｢…テメェ～、よくも接待ブチ壊してくれたなぁ。

あん？誰が性病三冠王だってェ!?
丸聞こえなんだよ。

おかげでもう署に顔出せねぇよ。

しかもこんな格好で職場の人間の前に現れやがって…

明日からどんな顔して屯所に出勤しろってんだよォォォ～!!｣

｢悪ィ、悪かった華蓮様ァァァ～!!

…ゴブッッッ｣

決まったァァァ～!!

華蓮の必殺技、バックドロップーーー!!!!!

………

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