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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[10]１２月８日(お妙)

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ファミレス[バトルロイヤルホスト]の一番奥のテーブルは、私達のアジト。

三日前にも華蓮団長を筆頭に、団員の神楽ちゃんと私で会議した。

何の集まりかって？

それはね…

泣く子も黙る『美乳団』よ!!

貧相な胸の持ち主である私達は、今までの屈辱を払拭するべく立ち上がったの!!

｢さぁ二人共、この間出した宿題はちゃんとこなしてきたかしら？｣

華蓮団長の言う宿題とは、胸を大きくする方法を色々と調べて来る事。

｢私はお店の巨乳の子に聞いてきました。

その子の場合、鶏肉のササミを徹底して食べて、３ヶ月でワンサイズ大きくなったそうです。｣

この寒いさなかにアイスコーヒーを注文した団長は、ストローでチューと飲み、ウンウンと頷いた。

｢なるほどね、鶏ササミか。

ヘルシーな上に安上がりで良いじゃない。｣

続いて神楽ちゃんが報告する。

｢昨日の[おもいッきしてれび]で、キャベツ食べたら大きくなるって言ってたアルヨ。

ある女優がゴッサ大盛りの千切りにして、一日一玉食べてたネ！｣

なるほどと呟きながら、団長はまたアイスコーヒーをすすった。

｢キャベツ。それも良いねぇ。

でも一日一玉かぁ…ちょっとコストがかかるかな。｣

そう言いながらも手帳にメモを記している。

｢私が聞いたのは、腕立て伏せをする事なんだけど…

私、腕立て伏せならほぼ毎日鍛練してるのね。

なのにこの通りでしょ…。

だから腕立て伏せはあまりアテにならないわ。

その他は…｣

ピラリと広げた手帳には、何十個という豊胸方法が、隙間無くビッシリと書き込まれていた。

｢さ…さすが団長アル!!｣

｢やはり伊達に私達より永く貧乳で悩んでないわ!!｣

華蓮団長はニヤリと笑みを浮かべ、椅子の背もたれにふんぞり返り、アイスコーヒーをズゴゴゴゴゴッと一気に飲み干した。

｢貧乳の夜明けは近いわよ。

さぁいざ、豊胸せよ乙女!!!｣

・―・―・―・―・―・

今日もアジトに『美乳団』の三人が集まった。

今日で五回目の会議だけど、何か団長と神楽ちゃんの様子がおかしい。

実は私もみんなに話したい事がある…。

｢あのね、聞いてもらいたい事があるの。｣

一番に口を開いたのは華蓮団長だった。

｢実は昨夜、主人に『キャベツも鶏肉ももう食べ飽きた!!』って言われたの。

『毎日毎回違う調理方法だから良いじゃない』って言い返したけど、スネちゃって…。

でね、後からボソッと耳元で言われたの。｣

団長は横向きで顔を赤らめ、小さな声で呟いた。

｢『胸があろうと無かろうと、俺はお前を愛してる』…って。｣

照れ隠しなのか、団長はアイスコーヒーのストローをグラスから引っこ抜き、このクソ寒いというのに氷ごと直接一気飲みした。

続いて神楽ちゃんが手を挙げ、発言した。

｢実は、胸が大きくなるっていうタンポポ茶のセットを買ってって沖田におねだりしたアルヨ。

そしたら後からボソッと耳元で言われたネ。｣

神楽ちゃんは横向きで顔を赤らめ、小さな声で呟いた。

｢『胸があろうと無かろうと、俺はお前を愛してますゼィ』…って。｣

照れ隠しなのか、神楽ちゃんは特盛りカレーライスを福神漬けごと丸飲みした。

そうか、みんな同じだったんだ…。

｢実は私も、新ちゃんから言われたんです。

『そんな事しなくたって、姉上は僕の姉上だから』って…。｣

三人共、もう結論は出ていた。

それを改めて確認する意味で、華蓮団長からのお言葉が下った。

｢じゃあ、もうこの集会も必要無くなったわね。

それでは『美乳団』解散!!｣

・―・―・―・―・―・

｢お前、ちゃんと姉ちゃんに言ったか？｣

｢もちろん言いましたよ。｣

｢俺も言っときやしたゼィ。｣

｢そっか。

じゃあこれでバカ盛りキャベツや鶏肉地獄ともおさらばだな！｣

｢ハァ～、やれやれですよ。

あれでもし胸のサイズが変わって『ブラジャー総買い替えしたい』なんて言い出したら、家計がえらい事になるとこでしたよ。｣

｢俺もうっかり５万円もするタンポポ茶セット買わされるとこでしたゼィ。｣

｢いや～しかし女ってのもチョロいな。

少女マンガみたいなセリフをチョイと耳元で囁くだけで、コロッと落ちやがる。

だいたいあんな微生物みたいな乳、あれやこれや頑張ったところでたかがしれてるっつーの。

さーてお祝いに、甘いモンでも食おっと♪｣

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