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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[19]１月１０日(沖田)

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午前の市中見廻りも、特に何事もなく済んだ。

昼飯までの間、お気に入りのアイマスクでもして昼寝しましょうかねィ…。

玄関で靴を脱ぎ、自室に戻ろうと廊下を歩いていると、局長室から怒号が聞こえる。

どうやらまた近藤さんが土方に叱られているらしい。

真選組(うち)では別に珍しい光景ではない。

しかし近藤さんがやられているのを知らん顔は出来ねェ。

仕方無ェ。

助けに行きやすかィ…。

｢入りやすよ。｣

障子を開けると、近藤さんと土方は向き合って座っていた。

近藤さんは子猫を抱きしめ、半泣きになっている。

あぁ、またか…。

近藤さんは捨て猫や捨て犬を見つけると、そのまま見過ごす事が出来ないタチだ。

それをいちいち拾って帰っちゃあ土方に叱られる…を、今までに何度も繰り返している。

おそらく今回もそうだろう。

｢総悟ォォォ～、あのね、この猫ちゃんがね…｣

ゴリラみたいなごっつい身体つきのくせに、ウルウルと涙を堪えながら訴え掛けてくる近藤さんは、カワイイっちゃあカワイイし、気色悪いっちゃあ気色悪い。

｢あぁ、もう!!

何度言ったら分かんだよ!!ったく…。

生き物はな、飼ってりゃいずれ死んじまうんだよ。

そうなったらアンタ、今以上に泣きじゃくって、仕事そっちのけになんのは目に見えてんだ。

だからもう一回元の場所に置いて来い!!｣

おそらくこれが子犬だった場合、｢そのうちどうせ散歩にも行かなくなって、結局はお母さんが面倒見るハメになるんでしょ!!｣とか言うんだろうな。

｢猫は勝手に遊んで勝手に帰って来るから散歩の必要はないし、トイレも躾れば同じ場所にするようになる。

犬と違って楽に飼える生き物と、俺は思いますがねィ。

死んだら死んだで三味線にしちまえば、一生近藤さんのおそばにいてくれやすゼィ。｣

｢総悟！ありがとう!!

でも三味線前提ってのはやめてよ…。｣

近藤さんは口を尖らせ、腕の中の子猫を撫でながら言った。

｢うっせー!!

総悟、お前は黙ってろ!!｣

土方は顔を真っ赤にして怒りながら、タバコを灰皿に押し付けた。

頭に血がのぼった土方をどうにか説き伏せてやろうと、俺はさらに続けた。

｢猫は夜寝るときには湯タンポ代わりになるし、飯だって食堂の残飯で十分。

そして何より死んだら三味線に再利用して売れば儲かる。

損はないと思いますがねィ。｣

｢いや、だから三味線前提はやめてってば…。｣

近藤さんの哀願はこの際無視だ。

もう近藤さんを助ける為でなく、土方を倒すための闘いだ。

｢クッ…｣

土方は拳を握り締めて震えている。

どうだ、この野郎。

参ったか。

しかしふと秘策を思い付いたらしく、土方はニヤリと笑い、俺に反撃してきた。

｢猫ってのはなァァ、

夜になると化けて出るんだぜェェェ!!

…って昔、ばぁちゃんが言ってた。｣

出た!!

必殺【土方家のババァ語録】!!

確か｢池にはカッパがいる｣とかってのも言ってたなぁ。

勝利を確信したかのような憎らしい顔で土方が笑った。

クソ！こうなりゃ仕方無い。

こっちも奥の手を使うか…！

｢でもその化け猫が、猫耳着けたカワイイ女の子だったらどうしやす？｣

｢エッ!!猫耳…｣

やった!!

カウンター見事に決まったァァァ!!

そう、何を隠そう土方は猫耳萌えなのだ。

先日、俺は街で、猫耳の女の子のポスターをガン見するを土方を目撃してしまった。

自分の心の奥底深くにあるフェチズムをズバリ突かれ、動けなくなった土方は、真っ赤な顔で口をパクパクさせている。

フッ…俺の勝ちですねィ。

悔しそうに俺を睨み付ける土方を前に、俺は近藤さんに勝利を捧げた。

｢良かったですねィ、近藤さん。

これからは猫でも犬でも拾い放題、

三味線だって売り放題ですゼィ。｣

｢だーかーら、三味線はダメなの!!!!!｣

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