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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[18]１月６日(山崎)

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｢ザキ。

これは副長命令だ。

必ず全てを洗い出して来い。｣

土方さんから下された仕事は、先日起こった琴雪太夫事件の真相を探って来いと言うものだった。

｢万事屋や華蓮だけでなく、真選組にまで被害が及ぶ事も考えられるから、その前に予防線を張る為だ｣なんて言ってたけど、妹分の華蓮さんが心配なだけだという事はバレバレだ。

でもキッチリ仕事こなしとかないと怖いからな、土方さんは。

だって【鬼の副長】だもん。

任務失敗なんてしたら切腹させられちゃうよ。

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まずは万事屋の旦那が琴雪太夫とちゃんと手を切っているかどうかを確かめよう。

とりあえず夜は華蓮さんがうちにいるから琴雪に会いに行く心配はないので、昼間の旦那を探る。

万事屋に上る階段の下まで行くと、ちょうど助手の新八君がゴミを出しに降りてきた。

俺は慌てて陰に隠れた。

新八君は俺に気付く事なくゴミを出し終え、また二階へ上って行った。

ゴミか…

中に何か手掛かりになる物があるかもしれない。

人のいない事を十分に確認し、建物の死角で新八君が置いて行ったゴミ袋の口を開いた。

生ゴミ・ドッグフードの空き袋・酢コンブの空き箱が主だが、その他に…

チョコレートの包み紙

いちご牛乳のパック

あんこの付着した紙

『ゴリゴリ君アイス』の棒

…うわ、甘いもんばっか！

いくら甘いもん好きったって旦那、これじゃあ糖尿病まっしぐらだよ。

あとは…

ん？何だろう、この紙。

記号が書いてある。

【Ａ７０】

…たぶん華蓮さんのブラジャーのタグだ。

このサイズも土方さんに報告すべきなのかな？

その他のゴミも調べたが、参考になるような物品は見つからなかった。

・―・―・―・―・―・

しばらく外で張っていると、今度は旦那と新八君とチャイナ娘が出て来た。

何やらキョロキョロと周りを気にしているようだ。

｢いないだろうな、アイツ。｣

｢大丈夫ですよ、銀さん。

まだ市中見廻りの時間じゃないみたいですから。｣

｢華蓮ちゃんにバレたら大変アルヨ。

ものっそい事になるネ。｣

三人はコソコソと早足で歩き出した。

華蓮さんにバレるとマズイって事は、まさか琴雪太夫に会いに行くんじゃ…！

俺は彼らの行方を尾行した。

確かに遊郭に続く方向に向かっている。

見損ないましたぜ、旦那。

華蓮さんのいない間に、しかも家族ぐるみで隠してるなんて…。

しばらくすると、彼らはある所で立ち止まった。

ファミレス【バトルロイヤルホスト】の前だ。

もしかしてここで琴雪と待ち合わせか？

｢よし、ここがいいな。｣

｢そうですね。ここなら華蓮さんの見廻り地域ではないので大丈夫でしょう。｣

｢良かったネ、銀ちゃん！

久々にパフェ食べられるアルヨ。

早くしないと、華蓮ちゃんに見付かったらまた『糖分摂り過ぎ!!』って叱られるネ。｣

あれ？じゃあ待ち合わせじゃないのか？

三人は揃って店内に消えて行った。

外で待つ事３０分。

彼らが満足顔で出て来た。

｢銀ちゃん、やっぱりパフェ５つは食べ過ぎアルヨ。｣

｢なっ…おめェ、バカ言うんじゃねェよ!!

それァその…アレだ、次いつ食えるか分かんねぇから、食い溜めしといたんだよ。｣

｢あ～あ～、口の周りに生クリーム付いてますよ。

それじゃあ完全に『パフェ食べました』って自白してるようなもんじゃないですか。｣

やはり琴雪と会ってはいなかった。

その後も後をつけたが、迷子の猫探しの仕事やデカイ白犬の散歩をしただけで、怪しい動きは無かった。

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そうこうしているうちに日が暮れてきた。

次は琴雪太夫側を探ってみよう。

もちろん直接本人を追跡する方が確実で早道だろうけど、遊女と違い、花魁レベルの人は相当な額のお金を積まなければ会う事さえ出来ない。

そこで、いつもお世話になっているかぶき町の裏情報屋に会いに行く事にした。

彼はかぶき町の事なら何でも知っている情報通で、多少のお金さえ払えば何でも教えてくれる。

ただし、｢○○が情報を買いに来た｣というような事は一切言わない。

それはお互いに廃業というリスクを伴うから。

｢琴雪太夫について教えてくれないか。｣

俺は彼のポケットに札を一枚ねじ込んだ。

｢……｣

足りないのか。

やはり花魁レベルの情報は値が張るのだな。

しかたなくもう一枚を入れてやった。

するとニヤリと口角を上げ、話し始めた。

｢こないだ呉服屋の旦那を上手いこと引っ掛けて、水揚げしてもらうっつー予定だったんだけどよ、うっかりカミサンに見付かっちまって、取った取られたの裁判沙汰さ。

結局その話しはパァ。

それ以来、遊郭出る金欲しさにあっちこっちの地位のある嫁さん取っ捕まえちゃあ金せびる…そんな女に成り下がっちまったのさ。｣

なるほど。

だけど、よそならそれで金ふんだくれるかもしれないけど、坂田夫婦に限ってはそう上手くはいかないよな。

刺客をやっても簡単に退治しちゃうもん、あの人達なら。

・―・―・―・―・―・

屯所に帰り、すぐに土方さんへ報告書を提出した。

『浮気とか、旦那はしてないと思います。

悪い事を企んでいたのは、琴雪太夫です。

旦那は華蓮さんの誕生日にケーキを買って持って行ってあげようとしていたので、たぶん華蓮さんの笑顔が見たかったんだろうなと、僕は思いました。

それと、華蓮さんのブラジャーのサイズはＡ７０です。　　
　　　　　　　山崎退』

土方さんに書類を手渡すと、しばらくジッと書面を見つめた後、床に投げつけてこう言った。

｢作文んんん!?｣

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