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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[16]１月３日(近藤)

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連日の新年挨拶回りで酒浸りの三が日の為、いまいちシャキッとしない頭と身体を、ツンと冷たい早朝の空気で引き締めようと障子を開ける。

外は一面の雪景色。

まだ誰も踏んでいない平らな雪を踏んでみたい衝動にかられ、つい大人げなくも庭に下りる。

ザクザクと足を埋もれさせながらその快感に一人はしゃいでいるうちに、気が付けば外門まで来ていた。

門をくぐって道に出てみる。

道には既に人の足跡や自転車のタイヤ跡が残っている。

自分が一番乗りでなかった事に多少ガッカリしてしまった、三十路の俺。

自分の幼稚な部分を露呈させてしまった事実に、ようやく恥ずかしくなる。

一人道端で赤面していると、向こうから白い大きな塊が見えた。

塊はどんどんこちらへ向かって来る。

雪玉か？

いや、違う。

しばらく眺めていると、こちらに近付くにつれだんだんとその容貌がハッキリしはじめた。

犬。

大きくて真っ白な犬だ。

という事は…

やっぱり！

背中には華蓮さんが乗っていた。

ブランド物であろうバッグとコートを身に纏い、背筋を伸ばし、キレイな髪をなびかせながら出勤する彼女の姿は、さながらジャンヌ・ダルクかオスカルか…といったところだろうか。

おや？

犬が口に何かくわえている。

何だ…？

｢局長、おはようございます。

賽銭泥棒を窃盗罪で逮捕して来ました。｣

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｢身体も心も落ち着いた様子で、安心したよ。｣

局長室でお茶を飲みながら心からの安堵を口にすると、彼女は静かに微笑んだ。

｢あ、そうそう。

一昨日、松平のとっつぁんとこに新年挨拶に行ったら、『今年また女子隊士を募集して、増員をはかろう』って言ってたよ。

どうする？｣

久々の出勤直後の突然の提案に、当然の事ながら彼女は困惑顔だ。

無理もない。

女子隊をここまで引っ張り、ようやく軌道に乗ったところだ。

そこへまた増員となれば、隊の再編成やら寮の増設、処遇の改善など、新たな問題が生じる。

しかし彼女はすぐに表情を切り替え、

｢ではすぐに募集をかけてもらうよう、署の広報担当者に伝えて下さい。｣

と言った。

・―・―・―・―・―・

早速、署に電話をかけた。

どうやらとっつぁんからのお達しは、華蓮さんの返事に関係無くとっくに広報担当者へ下っていたようで、既に準備は進んでいるらしい。

意気込んで電話した俺はなんとなく拍子抜けした。

｢あ、それから、坂田隊長にまた取材申し込みがありましたよ。

女性週刊誌、しかもあの【大江戸ビューティー】からですよ!!｣

女性広報担当者は、それをとても嬉しそうに伝えた。

彼女の説明によると、この雑誌は女性誌の中では常に売れ行きNo.1で、これに載っているモデルさんや記事になる人は、全女性憧れの対象らしい。

さすが元・大江戸小町にして現・真選組女子隊長の華蓮さん。

やはりトップに立つ人間ってのは頭はもちろんだけど、ルックスも必要なんだなぁ。

あれ？

俺、真選組トップの人間だけど、頭もルックスも持ち合わせてるっけかなぁ…。

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