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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[15]１月１日(神楽)

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昨夜は銀ちゃんと新八と定春と私でこたつに入って、紅白歌合戦を見た。

銀ちゃんはお酒飲みながら。

新八はおつう親衛隊ハッピを着て。

私は酢コンブしゃぶって。

その横で定春が眠って…。

去年と同じ。

なのに何か足りない。

華蓮ちゃんがいない。

ずっとずっとこの四人でいたけど、これじゃ足りない。

四人とも、[家族]はみんな一緒にいなくちゃダメなんだって思いながら、黙ってテレビを見てた。

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お正月の朝は遅めに起きて、お昼過ぎに初詣に行く…っていうのが万事屋のお約束。

でも今年はちょっと予定狂ったヨ…。

『午後からは松平のとっつぁんとこに新年の挨拶に行かなくちゃなんねぇから、午前中に初詣済ませますぜィ。』

朝７時に沖田から電話がかかった。

奴は私の返事も聞かずに、一方的に言って、一方的に切った。

｢もっと寝てたかったアルヨ…｣

そう呟いてみたけど、胸がドキドキしてとっくに目は覚めていた。

歯を磨いて髪を結い上げ、パジャマを脱ごうとした時、沖田がうちにやって来た。

手には赤い大きな紙袋を提げている。

｢ん。｣

沖田は私に向かってそれを突き出した。

何ソレ？

わけが分からずキョトンとしていると、今度は

｢ん!!｣

と、私の顔の前に突き付けてきた。

でっかく[福袋]って書いてある。

｢どーせ晴れ着もないんだろィ。

そん中にあるもん着て、とっとと初詣行きやすゼィ!!｣

横を向いたままそう言う沖田の顔は、紙袋と同じ色だったネ。

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袋の中には、テレビや雑誌で見たようなかわいいお洋服がギッシリ詰まってた。

手袋や帽子、コートにマフラーにバッグもあるネ！

どれにしようか迷いに迷っているうちに、沖田が袋に手を突っ込み｢これにしろィ。｣と勝手に決めてしまった。

白いキャミワンピ。

胸に大きなピンクのリボンが付いてて、すごく女の子らしい。

でも丈が短めでちょっと恥ずかしいネ…。

｢早くしろィ。もう行きやすゼィ！｣

イラつき気味に沖田が言うので、仕方無く着替え、一緒に入ってたコートを羽織った。

色々思いめぐらしながらお洋服を着たいのに。

女の子の気持ち、まるで分かってないアルヨ。

｢フン。まだまだガキアルネ。｣

沖田に聞こえないように言ってみた。

・―・―・―・―・―・

神社の境内には、全人類が訪れたのではないかというくらいの人で溢れかえっていた。

こんな時、ベタなドラマだと女の子が｢やーん、待ってよォ！｣と言うと、男の子が｢はぐれるなよ｣とか言って手をつないでくれたりするけど、沖田はどうアルかな…。

一か八か試しに言ってみよっ。

｢やーん、待つアルヨォ!!｣

フッフッフ…
我ながらかわいい声だったと思うネ。

すると沖田が、

｢はぐれんじゃねェですゼィ。｣

と言った。

やった!!大成功!!

それから手をつないで…

つないで…

つな…

あれ？

奴は手ではなく、私の首根っこ掴んで歩き出した。

違う!!首じゃなくて手!!

手がいいアルヨ!!

やっぱりコイツ、女の子の気持ち分かってないネ…。

そして猫つまみのままお賽銭箱の前まで連れて来られた。

私はお財布の中にある一番値段の高いお金・百円玉を取り出し、お賽銭箱に投げ入れた。

いつもなら一円でも惜しいくらいだけど、今年は奮発します。

だから神様、お願い。

銀ちゃんと華蓮ちゃんの赤ちゃんが

早くうちに帰って来ますように…。

横にいる沖田の方を見ると、まだお財布の中を覗いていた。

｢早くお賽銭、入れるアルヨ。｣

と私が急かすと、奴は正月早々おかしな事を言いやがった。

｢財布の中に、一万円札と一円玉しかねェや。｣

だったら一円玉入れやがれ。

｢う～ん、万札はもったいなくて出せねェし、

一円玉じゃあ万事屋に赤ん坊授けてくんねェだろうし…。｣

…だったら万札出すヨロシ…。

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帰り道、四越デパートの前には長蛇の列が出来ていた。

何の騒ぎ？

おいしい物のお店でも入ってるアルか？

それらを眺めながら歩いていると、先頭にプラカード持った人が立っていた。

【福袋をお買い求めの方はこちら】

って書いてある。

アレ？

福袋って今から売り始めるアルか？

じゃあ何で沖田は、あんなに朝早く私に買って来れたアルか？

疑問に満ちた目で行列を見つめていたら、奴が言った。

｢いやぁー、さすが俺の名刀・菊一文字でさァ。

ちょいと鞘から抜いて見せるだけで、店員が慌てて福袋差し出しやがるゼィ。｣

…買って来てくれたんじゃないアルか…。

やっぱりコイツ、女の子の気持ち分かってないアルヨ。

やっぱガキネ、ガキ。

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