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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[14]１２月30日(近藤)

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華蓮さんの辛い手術は、先日をもって終了した。

麻酔も覚め、どうにか心情も落ち着いたという連絡があったので、病院へお見舞いに出向いた。

｢華蓮さん、入るよー。｣

病室の白い引き戸を開くと、彼女はベッドを半分起こして座っていた。

｢あら局長…

年末の忙しい時期なのに、わざわざ来て下さったんですか。｣

口元に精一杯の笑みを浮かべる彼女だが、まだ寂しさを隠しきれていない。

手術で空っぽになったお腹は、今はきっと虚無感でいっぱいなんだ。

｢退院は、年が明けて２日になるそうです。

皆さんにはご迷惑をおかけしますね…。｣

普段から責任感の強い彼女は、自分の事でいっぱいいっぱいのはずの今も隊の心配をして、申し訳なさげに言った。

｢あぁ、そんな事は気にしないで。

それより、みんな華蓮さんの帰りを待っているよ。
早く元気な顔で帰ってきておくれ。

厳しい華蓮さんがいないと、隊士がダラけてしょうがないや。｣

そう言って笑って見せるが、たぶん俺も寂しさを隠しきれていない。

力無くベッドにもたれかかって話していた彼女が、スゥーと一息吸うと、急に俺の目を真っ直ぐに見据え、こう言った。

｢退院後、３日から通常シフトに入れていただけませんか。｣

華蓮さんが、さっきの弱々しい口振りとは打ってかわって強い口調で言った。

この口調は彼女が仕事モードに切り替わった事を意味する。

だが退院直後にいきなり通常シフトでは、ちと身体に障るのでは…

｢いやいや、しばらくは内勤しなって。

無理しなくて良いから、ゆっくりしなよ。｣

正直なところ、このまま黙って内勤のままでいてもらった方が、赤ちゃんを作る環境としては望ましいのではと思っていた。

今回の子宮外妊娠も、ハードな職務が原因だったのでは…と、俺も多少の責任を感じていたし。

｢局長、お願いします。

ゆっくりなんてしたくないんです。

ゆっくりしていると、どうしてもマイナスの思考にしか頭が働かない気がするんです。｣

真剣な目で懇願する彼女に、しごく戸惑った。

｢でも、今までのようなハードな仕事に戻ったんじゃあ、また赤ちゃんが…｣

その事には触れまいとしていたが、やはり言わずにはいられなかった。

しかし彼女は凛としたその佇まいで、再度俺に訴えかけた。

｢子宮外妊娠には原因など無いそうです。

仕事や食生活はもちろん、誰かのせいでもない。

だからお願いです。

真選組で仕事を…【百華】と仕事をさせて下さい！

私は【真選組女子隊長・坂田華蓮】なんです!!｣

負けた。

彼女の強情さは前からだが、仕事に対する熱心さもこれほどだったとは、正直意外だった。

仕方ない。

彼女はいつの間にかただの女性ではなくなってしまっていたんだ。

真選組に来てからの一年間で、名実共に【サムライ・ウーマン】に成長していたんだ。

こんな風に彼女を育ててしまったのは他でもない

俺だ。

じゃあ育ってしまったからにはやってもらおうじゃないか。

魅せてくれ

【サムライ・ウーマン】の心意気って奴を!!

｢よし！では…

真選組女子隊長・坂田華蓮に、１月３日よりの職場復帰を命ずる!!｣

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