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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[13]１２月25日(華蓮)

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昨夜、屯所へ報告に行った。

局長は

｢生きてるのに…

赤ちゃん、中でちゃんと生きてるのに…｣

と肩を震わせて泣いてくれた。

土方さんは

｢華蓮が何したってんだ!!

神様、アンタは一体どこ見てんだよ!!｣

と怒りを露にした。

総悟君は

｢毎日がサバイバルの坂田家では、丈夫な子じゃないと生きていけないから、もう一度強くなって出直して来てくれるんじゃないですかィ。｣

と毒を吐きつつも、再度の妊娠を望んでくれた。

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屯所を出ると、寒い中銀時が待ってくれていた。

バイクに乗り彼の背中にしがみつくと、それまでの感情が一気に増大し、気が付いたら周りの目も気にせず、私は大声で泣き喚いていた。

銀時は万事屋へは帰らず、海岸線へ向かった。

彼はスピードを上げ、後ろの私に叫んだ。

｢ここなら大丈夫だから、

泣け!!

おもいっきり泣け!!

チクショォォォーーー!!｣

私に｢泣け!!｣と言いながら、私以上に大きな声で泣き始めたのは、彼の方だった。

冷たい冬の夜風の中を走り続け、二人で涙が枯れるまで泣き叫んだ。

・―・―・―・―・―・

泣き疲れた頃、バイクは丘の上に止まった。

ここは遠い昔、銀時と花火を見て、その後もずっと二人で星を眺めた想い出の場所。

もちろんこんな真冬に花火は上がらない。

その代わりに、私達の住むかぶき町のネオンがクリスマス色に光輝くのが見えた。

私は明日、入院する。

そして手術前の検査や絶食を経て…

この子とサヨナラ。

仕方ないと分かっているが、辛い事には変わりない。

銀時が急にしゃがみ込み、私のお腹に額をあてた。

｢オイ、お前。

良く見とけよ。

ここがお前の街だ。

ここに、
必ずここに帰って来いよ。

…金太郎。｣

彼はお腹の子に力強く語りかけた。

名前まで決めていたのか。

自分に子供が出来た事が、余程嬉しかったのだろう。

ごめんね、あなたの子供を生んであげられなくて…

・―・―・―・―・―・

朝、いつもより少し遅めに目を覚ました。

銀時はもう布団にはいなかった。

泣き腫らした目で寝室から出ると、テーブルには目一杯の料理とクリスマスケーキが用意されており、ソファーには銀時と神楽ちゃんと新八君が座っていた。

｢華蓮ちゃん、お寝坊はダメアルヨ。

早くクリスマスパーティーするネ!!｣

三角の帽子をかぶった神楽ちゃんが、私に催促した。

朝からこんな立派な用意、一体…

｢ごめんなさい、華蓮さん。

本当はパーティーなんてする気にならない事は良く分かってるんです。

だけど…｣

サンタクロース姿の新八君が、申し訳なさげに言った。

｢…だけど僕ら、まだ生きている赤ちゃんとのお別れの前に、何か楽しい想い出を残してあげたいんです。

だからお願いです。

華蓮さんも、楽しいパーティーをして…

それから病院へ行って下さい。｣

新八君だけではなく、それはここにいるみんなの願いである事は、しっかり伝わってきた。

｢……

わあぁ～、おいしそう!!

私、唐揚げ食べたい!!｣

重い感情のままの自分を必死で焚き付け、みんなの気持ちに応えようとテンションを上げてみた。

みんなも雰囲気を盛り上げようとしている。

だけどやっぱりみんな正直だね。

顔は笑ってるのに、目からは涙がいっぱいあふれてるよ…。

・―・―・―・―・―・

｢…じゃあ行ってきます。｣

万事屋の玄関で、お留守番の神楽ちゃんと新八君に挨拶をした。

すると神楽ちゃんが私のお腹に頬を当て、言った。

｢いってらっしゃい。

早くうちに帰って来るアルヨ。｣

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