†*†*†*†*†*†*†*†*

《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

†*†*†*†*†*†*†*†*

[09]１０月２１日

†*†*†*†*†*†*†*†*

気持ちが揺らがないうちに、辞表を提出した。

来月いっぱいで退職する。

周りの友達は結婚に向けて段取りをしていたり、既に結婚して出産したりしている。

私はそんな皆と逆行しようとしている。

女の幸せと天秤にかけ、私は新しい道を選んだ。

もう振り向かない。

この道を信じて、私なりの幸せを掴むんだ…！！

・―・―・―・―・―・

｢まだお休みが余ってるんでしょう？

一人で暇にしていたらミツバちゃんの事ばっかり考えたりしちゃうから、落ち込む暇を与えないようにしてあげる。

屯所においで。

覚えてもらいたい事もいっぱいあるしね。｣

局長からの電話だった。

隊士どころかまだ正式に入ったわけでもない私の事にまで気を回してくれるなんて、千里眼の千手観音かしら、この人は…。

・―・―・―・―・―・

愛車のレンジローバーに乗って屯所に向かう。

そこそこ年齢いってる役付き高給取り女の嫌味な車種選択である。

このでっかい四駆に乗ったらブランド物の着物でも身につけて走りたいところだが、さすがに男所帯にそれで乗り込めば秩序を乱すというもんだろう。

今日は地味めの、あまり目立たない着物をセレクトした。

・―・―・―・―・―・

｢わぁ～かっこいいねぇ！！デッカイねぇ！！

こんなごっつい車から長身美人の山田さんが出て来るから、びっくりしちゃったぁ～！！｣

初めてプロレス観戦に連れて行ってもらった子供のようにはしゃぐ巨体は、目をキラキラさせて続けた。

｢駐車場は屯所の裏だから、俺がそこまで運転していい！？｣

そんな尻尾振ってる仔犬みたいな顔で言われたら断われないですよ、局長。

うふふ…なんかかわいい人だなぁ。

ガリリリリリ……

｢……ごめんなさい……｣

えぇっ！！擦った！？今もしかして塀で車体擦ったァァァ！？

そんなかわいい仔犬のような目で謝ったって、絶対許すか、ボケェェェーーー!!

局長に向かってボコボコに殴る蹴るの暴行を繰り返す私を、玄関の見張り役の隊士達が止めに来た。

局長だろうとクソ犬だろうと、私の愛車を傷付けた奴は絶対許さん！！

お前らよーく覚えとけ！！

｢片栗虎のとっつぁんの目は確かだな。
やっぱあの女にゃ看護師より真選組の方が向いてるぜ。｣

｢そうですねィ。｣

†*†*†*†*†*†*†*†*
[前㌻] [次㌻] ［*］ﾎﾞﾀﾝで前㌻
［#］ﾎﾞﾀﾝで次㌻ †*†*†*†*†*†*†*†*
[←戻る] †*†*†*†*†*†*†*†*
†*†*†*†*†*†*†*†*