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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[10]１０月２４日

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あれから毎日屯所へ通い、隊長としてのノウハウを教わっている。

実際に女子隊員が入って来るのは四月なので、それまでに私は準備しておく事が山盛りだ。

先日の車の件で武術の腕は認められたようなので、次は剣術を会得しなければならない。

剣術は学生時代に体育の授業で剣道をかじった程度で、それ以外は皆無に近い。

取り敢えず武具店で竹刀と防具、道着を揃える。

｢道着にはサービスで名前を刺繍して差し上げますよ。

女性の場合、いずれ名字が変わるでしょうから下の名前を入れる方がよろしいんじゃないですかね？｣

余計なお世話だジジィ。

残念ながらそんな予定はないよ。

でもささやかな期待と願いを込めて、下の名前を入れてもらった…。

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｢山田さん。

松平のオヤジさんが『近くに来たから昼飯一緒にどうだ』って言ってるんですけど…

どうなさいます？｣

私の車を擦って以来、いや私が暴行を加えて以来、局長は私に敬語だ。

そんなに怯える仔犬みたいな目で見ないでよ…。

｢はい、ではごちそうになります。｣

↑これ肝心。

｢はい、行きます｣

と返事すると割り勘にさせられる危険があるので、【払う気更々無い事前提で行くから奢れよ】というのを強調しておかなければならない。

これぞ女の子の上手な世渡りテク。

はい、これテストに出るよー。

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意外に松平片栗虎はセンスが良いらしい。

昼間から若造が入るには気が引けそうな、小綺麗な高級料亭に案内される。

鹿威しがカコーン…

床の間に高そうな掛け軸バーン…

広い畳の間に卓がデーン…

卓がデカ過ぎて、片栗虎までの距離が遠い…

こんな光景、テレビで見たことある。

それはたいてい悪巧みを企む場面だけど、こんなに相手と距離があるんじゃヒソヒソ話しなんて出来ないじゃん…。

｢いや～山田さんはよく気が付くし、頭も切れるし、おまけに元ミス大江戸小町ときた。

真選組にはもったいない女性ですよ。

あはははは～！｣

そんな取って付けたような感想、本気で思っているんだろうか。

また私に殴られないよう予防線張ってるだけかしら。

…あ、今この人ごはんから手を付けた。

汁物からっていうのがマナーでしょうが。

しかも迷い箸、渡り箸、刺し箸…タブーのオンパレード！！

局長ともあろう者がおうちの食卓みたいな食べ方してたんじゃ、威厳が保てないじゃないの。

…教育が必要だな。

あれ？やっぱ私お母さん？

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