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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[13]１２月２４日

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世間はクリスマスイブで大賑わいしている。

江戸の街も例に漏れず、クリスマスセールやらキャンペーンやらで大盛況だ。

ここ２年ばかり、私はクリスマスイブとバレンタインとゴールデンウィークには夜勤を入れるようにしている。

街がこんなに賑わっているのに、私は一人おうちでクリスマス特番を見てる…なんていう淋しい過ごし方は絶対に嫌だから、自分と周りを納得させられる理由を作る為だ。

彼女のいる隊士は勤務中もそわそわし、仕事が終わると急ぎ足で屯所を後にする。

こんなに想われている彼女は幸せ者だ。

かつては私にもあったはずなのになぁ、
こんな幸せが…

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時計の針が深夜１２時を指したのを合図に、市中見廻りに出発する。

なぁんだ。

結局街のクリスマス騒ぎを目の当たりにしなければならないのなら、夜勤を入れた意味なんか無いじゃないか。

最近ようやく一人で市中見廻りをさせてもらえるようになり喜んでいたが、今日ばかりは一人ぼっちが辛い。

不貞腐れながらも任務は遂行しなくてはならない。

革靴の紐を締め、玄関を出る。

数メートル歩いた所で白いものが目の前に落ちた。

初雪か

いつかのクリスマスも、こんな風に雪が降ってたなぁ

そんな夜、あの人と出会ったんだよね…

道端で血だらけになって座り込んでいた、銀色の髪の男

うちに連れ帰り、手当てをしたら、そのまま…

うちに居ついた。

彼は攘夷志士だった。

毎日天人相手に闘いを挑み、傷だらけの身体でうちに帰る。

私は明日をも知れないその身を案じ、足を洗う事を望んだ。
しかし彼は

｢国を護る｣

その一念を貫き通した。

私は安定した生活(しあわせ)が欲しかった。

両親の離婚で母子家庭で育った私は、確実に幸せになりたいと願う気持ちが人一倍強かったのだ。

しかしいくら心底愛している男でも、いつ命を落とすとも分からないのでは不幸になる事など目に見えている。

私は人生でたった一度、初めて自ら別れを告げた

・―・―・―・―・―・

街はネオンがいつもに増してきらびやかに輝いている。
大音量のＢＧＭは、もはや人々の会話さえ消し去ってしまっている。

彼からの贈り物であろう真新しいブランド物のバッグを片手に、腕を組み歩くカップルの波を隙間を縫うように逆行する。

かつての私はブランド物を[貰うもの]と思っていた。
しかし気付けばいつの間にか[自分で買うもの]になっていた。

人間、歳を取って変わるのは顔だけではないのだ。

歓楽街を抜け、市民が生活する裏通りに出る。
さすがに人っこ一人おらず静かだ。

刺すように冷たい風を感じながら歩いていると、向かい側から白い箱を持った男が歩いて来る。

残業帰りか、はたまた彼女にでもフラれてあてもなくさ迷っているのか…

近付くにつれ、容姿が明らかとなる。

見覚えのある、懐かしい風貌。

銀色の髪

太く逞しい腕

厚い胸板

｢……銀時……｣

あの日と同じ、

雪が降りしきる夜だった…

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