本編「〓Taboo〓〜タブー〜」@


[09]chapter:2-4


ビルは家へと帰るため森の中を歩いていた。
 
まだ夜にならないのに木々のせいで辺りは薄暗くなっている。上を見上げると空はまだ茜色の空が見えた。
 
学校に通うようになってもう3年が経つがビルはまだこの夜の道に慣れていなかった。
 
この道は朝でも木々のせいで薄暗く、この時間になると夜といって過言ではない。
 
木々の間は暗く、奥が見えない。何が出てきてもおかしくない空気が周りに漂っている。
ビルは家が学校の前にあるダッドとバートンを羨ましく思った。
 
ガサッ
 
森の奥から何か音がした。ビルは驚いて音のした方向を見たが暗くて何も見えない。
何か嫌な予感がした。
ビルは足を速めた。
 
何かに見られてる気がする。
 
ガサガサッ…
 
何かに追われている気がする。
 
ビルはもうほとんど走っているに近かった。
 
おかしい...
 
出口が見えない。これだけ走っているのだ。もう森を抜けてもおかしくないはずだった。
 
ビルは汗でビッショリになっていた。
疲れて足が重くなる。
 
ビルはついに体力がなくなり足を止めてしまった。
 
グルル………
 
背後に悪寒を感じた。
 
何かいる。
 
ビルは動けなかった。体中から汗を吹き出し震えている。走った後なのに体は冷え切っていた。
 
ビルはゆっくりと首を後ろへと向けた。
 
次の瞬間、ビルの視界は闇へと消えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
グルルルルル…
 
 
「ん?なんだお前?何食ってんだ?」
男は暗闇の中で体長7メートルはあるであろう猛獣に歩みよった。
だが猛獣はその男を襲う気は無いらしく甘えるように頭を差し出した。
 
「よぉし、いい子だ」
男は猛獣の頭を撫でてやった。猛獣はグルルと嬉しそうに喉を鳴らしている。
 
「シン………」
暗闇の中にもう一人細身の男が現れた。
「ん…?なんだキラ…あんたか」
シンと呼ばれた男は猛獣を撫でながらもう一人の男の方を向いた。
「計画の方はどうですか?」
キラの声は知的な雰囲気を漂わせている。
「順々だよ。他の奴らはどうした?あんた1人か?」
シンはキラとは正反対のチャラチャラした声をしていた。
「そうです。フェイトもヴァルキロも他のみんなも自分の用事がありますから...どこで何をしてるやら...」
「ふん、相変わらず統率のない連中だな」
「シン...君は少し口が悪すぎる。あなたはまだ私達に認められていないことを忘れないでください」
キラはそう言ったがあまり気にしている様子は見えない。
「あぁ分かったよ。だが今回の件で俺のことは『あの方』に高く評価されるはずだ」
「えぇ...今回のあなたの仕事はとても重要です」
「あぁ、分かってるよ...あ、そういやぁ...」
シンは語尾を濁した。
「どうしました?」
「村にユスティティアがきている」
「ほぉ...このタイミングでですか...彼らはよほど鼻がきくと見える...」
「だがキラ!あんたは手を出すなよ!これは俺の仕事だ!ユスティティアの奴も俺が返り討ちにしてやる!!」
シンは声を荒げる。
「ククク...手など出しませんよ...健闘を祈りますよ...」
キラは薄気味悪い笑みを浮かべながらそう言って闇へと姿を消していった。
 
「ちっ...何が健闘を祈るだ...!」
 
シンはそうそう毒を吐き捨て空を見上げた。
いつの間にか茜色だった空は闇に染まり夜になっていた。
満月とまではいかない少しかけた月が見える。
 
「いい夜だ...」
 
シンはそう言って闇へと姿を消した。
 
 
chapter:2 Justitia
 
 
〜to be continued...

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