あと0日


[04]勝負


宇宙に出ると不思議な感覚になった。
自分の体が浮いているのだから…当然か。
少し後ろを振り向くと、地球がしっかりと見える。
「俺が守るんだ…この地球を。」
俺は小さな声で、しかしはっきりと呟いた。
もう完全に意思は固まっているはずだ。
怖がっている場合なんかじゃない…。
俺はふと、今日見たあの夢を思い出した。
「ずっと一緒にいたい」
きっとそれは裕太の本当の心からの願いなんだと思う。
「安心しろよ裕太…すぐに帰るからな。ずっと一緒にいよう…な。」
遠くのあの地球にいる裕太に向けて…届くようにそう言う。

しばらく沈黙の中で意志が固まる様にと、一点を見つめていた。
すると…小さな光がこちらに向かって来るのが目に入った。
「…来たか。」
それはまぎれもなく、隕石だった。
猛スピードで俺の方へ向かって来る。
近くなるにつれて眩しくなり、熱くなってくる。
その距離はもうあと50mほどだろうか。
俺は、眩しすぎて目をゆっくりと閉じた。
絶対に帰るんだ――とにかくそう念じながら。

隕石が俺の目の前に来てからどれだけ時間が経っただろう。
きっとまだ全然経っていないのだろうが、その熱がずっとある様な気がした。
「っ…絶対…負けるかっ…!」
そう言った瞬間、目の前にあった光が…消えた。
…壊れたんだ…。
俺の意識はそこで途切れた。




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