あと3日


[04]明日へ


「…そういう訳で、明日には出発しなきゃいけなくて。」
両親は目を丸くして俺の方をただ向いていた。
「だから…裕太の事を。」
おふくろが自分を納得させる様に呟く。
「どうして…太陽が行かなければならないんだ…。」
親父がうなだれてそう言う。
「大丈夫だよ。…俺は必ず帰って来るから。裕太の為にも…それに、おふくろと親父に悲しい想いはきっとさせないから。」
俺がそう言い切ると、おふくろが涙を流しながら俺を抱きしめた。
「絶対に帰って来るのよ…太陽…。」
おふくろが泣いているのを見るのも…由紀子を亡くした時以来だ。
人の事、泣かせてばっかりだな…俺は。
「あぁ…ありがとう。」
それ以上は何も言わなかった…というより言えなかった。
泣きそうだったから。
「裕太は…責任持って預かる。太陽が帰って来るのを…3人で待っているからな。」
親父は優しく笑ってそう言った。
3人で待っている…自分に帰る場所がある事を改めて、認識させられる。

そして俺は裕太の隣の布団に潜る。
…なかなか寝付けない。
それもそうだ。明日には俺は地球を発つのだ…。
こんな事が起こるなんていつ考えるだろう?
隣の裕太を見ると、すやすやと気持ち良さそうに寝ている。
この幸せな寝顔を奪うわけにはいかない。
「俺は…ここに帰って来る…絶対に。」
最後にそう呟いて目を閉じた。

明日への希望を託して。




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